いきなり「ローパドープの作品は聴いたことがありませんでした」と語るのはdj klock。しかしながら、そんな彼にローパドープが全米リリースをオファーしてきたのだというから……何というか実にローパドープらしい。klock自身も「音的にはあまり接点がないと感じていたので、最初は意外でした」と話してくれたが、ローパドープはこれまでにも(レーベル・カラーに準じているとはにわかに言い難い)ジャザノヴァやジャネイロ・ジャレルをライセンスしてUSリリースしてきたという実績がある。klockの場合は、彼が最初のUSツアーで訪れたブルックリンでのプレイをライヴ録音したミックステープ『direction of rainbow』(2004年)を聴いたレーベル側からコンタクトがあったそうだ。
「『rainbow ep』をちょうど作っている時だったので、その音を送ったら凄く気に入ってくれて、次のアルバムをリリースしようということになったんです」。
その〈次のアルバム〉こそ、〈虹三部作〉後のファースト・ステップとなるこのたびのニュー・アルバム『san』である。ローパドープが自身の音を気に入ったポイントを、klock自身は「自分のDJや曲の〈演奏的〉なところだと思います」と分析するが、実際に『san』ではピアノやフルートなど生楽器のパーツとの柔らかな共存ぶりが印象的だ。この後にはDJロジックとのツアーも検討されている彼のUSでの奮闘を、日本では一足早く聴ける『san』を味わいながら楽しみに待つとしよう。