THE DETROIT EXPERIMENT
『The Detroit Experiment』 Planet-E/Ropeadope(2003)
〈Experiment〉企画の第2弾。仕切り役のカール・クレイグが、トライブの首領=マーカス・ベルグレイヴからアンプ・フィドラーまで、演奏力を主眼に参加メンツを束ね、デトロイトの〈ジャズ〉史を一本に繋いだ意義深い作品。いつか〈NYエクスペリメント〉も聴きたいね。(出嶌)
MIKE GORDON
『Inside In』 (2003)
フィッシュのベーシスト、マイク・ゴードンのソロ。「Outside Out」という自身の映画用のいろんな人が関与した楽曲を、再度みずからが自在に構築したアルバム。ゆったりしているのにファンキーで、どことなく浮世離れしたイイ感じの佇まいが浮上してくる。淡々とカッ飛んだ、もうひとつの、合衆国のボーダレス音楽。(佐藤)
SEX MOB
『Dime Grind Palace』 (2003)
広角型ペット奏者、スティーヴン・バーンスタイン(ラウンジ・リザーズからフィータスまで)の諧謔バンド(それは何より名前に出ている)の5作目。ノスタルジックな軸と現代的な軸が自在に交錯し、批評的でもあるヒップな騙し絵的表現。それは真っ当なカッ飛びジャズ流儀を持つからこその産物なのだ。(佐藤)
SKERIK'S SYNCOPATED TAINT SEPTET
『Skerik's Syncopated Taint Septet』 (2003)
ポンガなどの異端バンドに参加しながら、数々の客演でインプロヴァイズド・ミュージックの異才として活躍するサックス奏者、スケリック。彼が率いる7人組での本作は、ジャズ、ニューオーリンズ、ヒップホップなどをシニカルに混ぜ合わせた、前代未聞のチャンプルー音楽集だ。(大石)
ANTIBALAS
『Who Is This America?』 (2004)
フェラ・クティが生み出したアフロビート表現の醍醐味と精神性を、いまのNYという環境のなかで仁王立ちさせようとする大所帯バンド。これは、ニンジャ・チューンから移籍しての通算3作目。ブラス音やビート、そして英語での肉声が、アメリカという枠を打ち破ろうと痛快に跳ねる。(佐藤)
CRITTERS BUGGIN
『Stampede』 (2004)
一時期はジャム・バンド系のプレイヤーが多数住んでいたシアトルから世に出た(現在は各人が各地に離れて居住)、マット・チェンバレンやスケリックらによるオールスター的な4人組だ。ポスト・プロダクションにも凝った、胸騒ぎ感覚と妙なストーリー性たっぷりのインスト曲が詰まっている。(佐藤)
THE DIRTY DOZEN BRASS BAND
『Funeral For A Friend』 (2004)
ジョン・メデスキーやDJロジックと過去の作品で絡んだ縁か、ニューオーリンズが誇る名バンドの今作もローパドープからのリリース。伝統と革新の融合をフレッシュに提示している。そういう意味で実にこのレーベルらしいアルバムだとも思える、21世紀流のニューオーリンズ・ファンク作品だ。(大石)