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第2回 ─ 山下達郎“白いアンブレラ/ラッキー・ガールに花束を”をチアー&ジャッジ

連載
菊地成孔のチアー&ジャッジ ―― 全ブロガー 参加型・批評実験ショー
公開
2005/11/04   15:00
更新
2005/11/04   18:21
テキスト
文/菊地 成孔

ご好評のうちに終了した「CDは株券ではない」に続き、菊地成孔の新たな音楽批評連載「菊地成孔のチアー&ジャッジ」がスタート! 菊地成孔が1つの楽曲に対し、〈大絶賛〉と〈酷評〉の2つのレビューを書き、「その2つのどちらが優れているのか?」を読者の皆さんのトラックバックによって決める。という、ブロガー参加型の批評実験場です。第ニ回目は山下達郎の“白いアンブレラ/ラッキー・ガールに花束を”。皆様の参加をお待ちしております!

 読者の皆様どうもどうも~。〈インスタントラーメン〉という言葉が、目覚めたら突然、超クールな言葉に聞こえてしまう。という不可解な病をわずらってしまい、鏡を見つめては「インスタントラーメン……」と呟いてうっとりし、「ドルチェ&ガッバーナのインスタントラーメン。出ないかな……」などと夢想しながらトラックバックの集計をしております。世界で最初のチアー&ジャッジ・メン。菊地成孔です。と、今体温を測ったら37度を超えていました。何だよ風邪かよ! さむけ~。

 というわけで、初回から僕の体温を越え、そして年齢をも越える、実に43個のトラックバックを頂戴しまして、大変誠に有り難う御座いますです! 何い? 「ガッバーナのカップラーメンって面白いですねえ。はははは」だとお? バカヤロー! カップラーメンじゃねえっ! インスタントラーメンだっ! 秘伝のスープで顔洗って出直してきやがれっ!!!

 と、まるで馬用のステロイドを打ったような大興奮ぶりの当連載ですが(すみません本当に・土下座・現在〆切を73時間超過。微熱でものすごくダルいので、自分を馬のように奮い立たせているのです)、さっそく栄えある第一回の集計をご覧下さい!

〈結果発表〉
・チアー
既聴 15
未聴 1
得点:15+0.5×1=15.5

・ジャッジ
既聴 18
未聴 7
得点:18+0.5×7=21.5

無効票 2
※当連載のルールや主旨はコチラ

うひょー、第一回は6ポイント差でジャッジでした!

  もちろんこれは、シングル“Be My Last”がジャッジ(酷評)に値する音楽である。という意味の訳がありませんので誤解無きよう。

 とはいえ「じゃあ、何を意味してるんだよ」と言われれば「そんなもん……あの……い……いろいろだよっ!」と答えるしかないのですが(笑)、とととととにかく! 皆様すべてのトラックバックをお読みになって下さい! たった二つの文章から、これだけ多岐に渡る評価が生み出されるとわ! おおおおお面白すぎ!

 我々人類は、言語を使えば互いに理解し合えるという信条など、冷えきったカップラーメンの器と共にダストシュート!すべきなのでしょうか? 何い? カップラーメンじゃねえ! インスタントラーメンだっーー!!

 というわけで! 皆様そして宇多田ヒカルさんに感謝致します。これからも人類は宇多田さんをチアーしたりジャッジしたりしながら繁栄して行くことでしょう!

初回のBPゲッター発表

 さてさて、事ほど左様に様々なご意見を頂戴し、ひとつひとつ総てにコメント差し上げたいほどなのでありますが、そうも行きません(熱が上がってきたよ。キュ~)。毎回お一人にブロガー・ポイントを差し上げることにしま~す。

 と、さて、第一回という事で、分かり易いブロガー・ポイント(BP)の基準のひとつとしまして「 VO(ヴァイタル・オーガン=急所)指摘」という項目を設定します

VOとは?(ヴォーカルじゃないですよ!)

 これは、僕が書く前に仕掛けてある、意図的な事実の歪曲で、まあそうですね。トラップみたいなものですが、これをズバリ指摘するとポイント対象になります。初回に於きましては以下の二点でした(他にも意図しない事実の誤認や納得できない部分。というのがあるのは言うまでもありませんが、僕が事前に仕掛けていたのは以下の二つだけです)。

1)〈初の和風〉ではないこと(“SAKURAドロップス”など)

2)“Automatic”は、その他の曲との構造が著しく違っており(これは推測の域を出ませんが、プロデューサーであるお父様との実質的な共作ではないかと思われます。根拠は、U3~キュービックUと名を変えた宇多田ファミリー・バンドのアルバムを聴くに、サウンド、和声進行など“Automatic”と類似した構造の楽曲が散見されるからです)、セカンド・シングル以降の楽曲と区別されるべきであること

  というわけで、様々な形で1&2双方に対するご指摘がありましたが〈最初は父親の補助輪付きで、やがては自分だけで総てやるようになり、更にはご主人がパートナーに〉という、宇多田ヒカルさんの経歴に密着した、非常に重要な点(ここに着目することで〈モチベーションの推移〉や〈自壊意識の在り方〉等の根拠が明確になる可能性があります)だと思われる(2)に対する明晰な言及があった、kaneda_shinichirouさん(ブログはこちら)に、初回のブロガー・ポイントを差し上げます。そうですねー。えー。数に意味はあんまありませんが(笑)、栄えある初回。ということでお目出度くBPラッキー7とさせて頂きまっす!!

 以下が指摘部分です↓

 デビュー曲である『Automatic』からゆっくりと成長を続けているというところは、首を傾げます。

 なぜなら、『Automatic』という曲は、「これだけゴーストライターが書いたのではないか」と思わせるレベルの曲だと思うからです(セカンドシングルからゆっくりと成長を続けている、というのなら分かります)。具体的にどこが、と申しますと、コードプログレッションとメロディー(特にサビの)の関係の癖というか傾向みたいなものが、他の曲と比べて違うと感じるからです。

 とはいえ、プロデュースをやっているお父様が、彼女が一度作った曲を、リハーモナイズ(メロディはそのままに、コード進行を変える)を行ったとすれば、しっくり来ます。メロディが単体でそこまで特徴的なわけではありませんので。

 いや~。トラバ二つ目にしていきなりVOをバシッと指摘されてしまったので「うわくっそ~全然丸見えか俺は~。もうダメかこの連載は~」と、実は大いに焦ってしまいました!(文体を翻訳調に堅くして、VO仕掛けを目くらまししていたつもりだったんですが・笑)kaneda_shinichirouさん、有り難う御座います。

 勿論、ポイント制は僕の気まぐれ判断ですので、VOの指摘のみがポイントに繋がる。というルールでは決してありません(VOが指摘されない可能性もありますしね)。何の音楽的情報が無くとも(楽曲分析に対する指摘が一切無くとも)僕の文章それ自体に対する批評が面白い/鋭い。と判断した場合はBP差し上げまーす。
 
 とはいえVOの仕掛けは(システムの性質上、初回は黙って行いましたが)必ず毎回忍ばせていきますので、「ここがVOだな」と思われた方は、今後〈今回のVO予想〉と明記してくださると面白いかも知れませんね。BPが50溜まりましたら……えーとそうだなあ。ちょっと考えます。そもそもポイント数自体に基準が未だ無いので(笑)。というかBP対象や賞品については連載を行いながらだんだん整えてゆきます(笑)!

 というわけで、今後とも活発なトラックバックを宜しく御願い致します!これはあくまでゲームですから楽しくお気軽にどうぞ!

 それでは第二回を開始します!! チアー・ア~ンド・ジャッジ!!