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第71回 ─ PLASTICS輪廻転生……PlasticSex始動に沸くクリエイターたち!!

連載
360°
公開
2005/08/11   11:00
更新
2005/08/11   16:31
ソース
『bounce』 267号(2005/7/25)
テキスト
文/荏開津 広

現代に生まれ変わったPlasticSex!!


 PLASTICSのオリジナル・メンバーである中西俊夫というアーティストは時代に敏感なアーティストだが、それが単にオポチュニスティックな、もっとはっきり書けばトレンディーなだけのアーティストと区別されるのは、彼の音楽のみならずアート全般への深い愛情と理解によるところだろう。

 ポップ・ミュージックと時代の関係は、なかなか興味深い。音楽がダウンロードされ、どの地域のどの時代の音楽にも誰でもがアクセスできるようになった現在、はたして〈時代〉とはいったい何を示すのか?ということが問題だ。昔はもっと簡単だった。君のお父さんが若かった頃、時代とは雑誌とTVやラジオから流れてくるものだった。そして、それはビートルズだけだったりした。だから世界中の何百万人という人間が、ビートルズのアルバムのリリースを待ち焦がれたりした。だが今は違う。今でもスーパースターはいる。けれども歴史ブックに書いてあるように、あるアーティストが何百万人という人間の人生に影響を与えることは少なくなってしまった。その一方で、インターネットを通じてラジオにもTVにも出演しないアーティストの名前がどんどん広まっていたりする。これは良いとか悪いとかではない。そして今回始動した中西俊夫と彼のPlasticSexというニュー・プロジェクトは、こうした時代へのひとつの新しいスタンダードを打ち立てようとする折衷的なアプローチだ。パンクとラーガがここでは自然に出会っている。それもコンセプトなどを音楽を奏でる前にいろいろ考えるようなものではない。音楽とは楽器や機材、そして世界に存在する音を使ってなにかを作り出すこと。ギターをプレイしたりラップのためにマイクを握る瞬間から始まることで、他のことではないからだ。都会の原始人、もしくは原始的な〈ダンディー〉として中西俊夫は、この国の最高の秘密だ。