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第57回 ─ ハンサム・ボーイ・モデリング・スクール、秘密の手帖を発見

第57回 ─ ハンサム・ボーイ・モデリング・スクール、秘密の手帖を発見(2)

連載
360°
公開
2005/02/10   16:00
更新
2005/02/10   18:40
ソース
『bounce』 261号(2004/12/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

充実の講師陣が貴方の変身をお約束

Prince Paul

 我が校が誇るべき名物講師のひとり、チェスト・ロックウェルは、一般的にはプリンス・ポールという名前で御存知の方が多いかもしれません。80年代半ばにはステッツァソニックでDJを務め、89年にデ・ラ・ソウル『3 Feet High And Rising』(Tommy Boy)にて教鞭を執り、ニュー・スクール(学校ではありません)の扉を開いたという経歴の持ち主です。

80年代には独特のハンサム審美眼を活かして、ビッグ・ダディ・ケイン、クイーン・ラティファなどを鍛え直しています。片や94年にはRZAやトゥー・ポエティックらと共にグレイヴディガズなるハンサムらしからぬグループを結成したこともありました。97年には初めてのソロ・アルバム『Psychoanalysis: What Is It?』(Tommy Boy)を発表、これはインストゥルメンタル中心の実験作品でしたが、99年に放った2作目『Prince Among Thieves』(Tommy Boy)ではラッパーたちを迎えたドラマ仕立ての娯楽作品に仕上げています。2003年には似た雰囲気の3作目『Politics Of The Business』(Antidote)もリリースしています。当人いわく「未発表トラックをまとめて出したら、プリンス・ポールとしての作品はおしまい」だそう。

最近は気まぐれで悠々自適のハンサムぶりを展開している彼だけに、今回の講義は貴重な直接指導となります。この機会をどうぞお見逃しなく。なお、このパンフレットで彼があまり喋っていないのは、友人であるオール・ダーティ・バスタード氏の葬儀に出席した後だったからのようです。冠婚葬祭……というか信義に厚いのもハンサムの必須条件なのですね。

▼文中に登場した作品を紹介


prince paul『Psychoanalysis:What Is It?』


Prince Paul『Prince Among Thieves』

・Dan the Automator
 さて、もうひとりの名物講師となるのがナサニエル・メリウェザーです。ダン・ナカムラ、あるいはダン・ジ・オートメイターとして御存知の方もいらっしゃるかもしれません。彼は伝説の天才教師であるクール・キース氏がDrオクタゴンの名で出した96年作『Dr. Octagonecologyst』(Bulk)でカリキュラム設定に携わっていたのですが、その後キース氏とは決裂してしまいます。同年にEP教材『A Better Tomorrow』(2000年にアルバム・サイズの『A Much Better Tomorrow』として再リリースされました)を出した彼はロック・アクトを中心にプロデュース業に手を広げていき、ハンサム・ボーイ養成講座の開講に至ります。

一方で2000年にはデル・ザ・ファンキー・ホモサピエン&キッド・コアラと組んだデルトロン3030として『Deltron 3030』(75 Ark)を、翌2001年にはデーモン・アルバーン(ブラー)らとの覆面バンド=ゴリラズで『Gorillaz』(EMI)をリリースするなど百面相ぶりを発揮。同2001年にはナサニエルが贈るハンサムード音楽プロジェクト=ラヴェイジの『Music To Make Love To Your Old Lady By』(75 Ark)もコンダクト。この頃にはギャラクティックやブルース・エクスプロージョンの改造計画を練ったり、ウィリー・ボボやチャーリー・パーカーといった過去のハンサムたちに関する論文も発表しています。

2002年にはそんな多趣味ぶりを窺わせるカラフルなミックスCD『Wanna Buy A Monkey?』(Sequence)をリリース。ゴリラズの新作や、MCA消滅によって宙に浮いてしまったソロ名義作品『Omakase』の完成も待たれる人気講師です。

▼文中に登場した作品を紹介


Deltron 3030『Deltron 3030』


V.A.『Wanna Buy A Monkey?』