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第31回 ─ エピタフ

連載
Discographic  
公開
2004/07/22   12:00
更新
2004/07/22   20:55
ソース
『bounce』 255号(2004/6/25)
テキスト
文/ヤマダナオヒロ

いまやメジャーを脅かすほどの存在なのに、いまだキッズの心を捉えて離さない巨大インディー・レーベル、エピタフ。20年にも渡る活動の原動力ともなったDIY精神とチャレンジ・スピリットは、つぎつぎと現れる未知の音楽に〈パンク〉という〈墓碑銘〉を刻み続けている。その軌跡をご覧に入れようではないか!!

DIY精神と共に歩むエピタフ、その20年間の足跡

 いまやロック・ファンでその名を知らぬ人はいないであろうエピタフは、ご存知バッド・レリジョンのオリジナル・ギタリストである、〈戦う社長〉ことブレット・ガーヴィッツがトップで取り仕切る巨大インディー・レーベル。現在でこそ、ランシドのティム・アームストロングが主宰し、ドロップキック・マーフィーズなどのストリート・パンクからスカ、サイコビリー・バンドのほか、ジョー・ストラマーのソロ作までもリリースする〈ヘルキャット〉や、トム・ウェイツやロカストなどをリリースしている〈アンタイ〉。そして、ボブ・ログ三世などを手掛けるブルース専門の〈ファット・ポッサム〉など、傘下レーベルもガッツリ抱えた大所帯となっているが、そもそもエピタフは、パンクならではの〈DIY精神〉に端を発した小さな自主レーベルだった。

 80年代初頭、アンダーグラウンドで活動を広げていった西海岸のパンク・バンドにとって、自身の音源をリリースするべくみずからがレーベルを立ち上げることはごく普通のことであった。ブラック・フラッグのグレッグ・ジンはSSTを、デッド・ケネディーズのジェロ・ビアフラはオルタナティヴ・テンタクルスを設立したように、バッド・レリジョンは初音源となるEP『Bad Religion』をリリースするにあたり、81年、ブレットみずからがエピタフ(=墓碑銘)を立ち上げる。以降バッド・レリジョンはほとんどの作品を自身のエピタフからリリースし、着実にファンからの支持を大きなものにしていく。それと同様、レーベル活動の規模も徐々に大きなものにしていった。

 90年頃になると、エピタフはNOFXやペニーワイズなど、西海岸パンクの後輩たちの作品もリリースするようになり、なかでもオフスプリングの93年作『Smash』は世界的に大ヒットして、レーベルの売り上げは前年比の1,000%を記録! さらに若手バンドの音源を大量に収録した激安廉価盤レーベル・サンプラーの走りである『Punk-O-Rama』は、バッド・レリジョンが確立した〈メロコア〉の魂を受け継ぐ次世代のパンク・バンドが、世界的にブレイクする大きなきっかけを作ったといっても大袈裟ではない。

 このように、一歩先行く仕掛けでシーンを先導し、パンク・レーベルとして成長してきたエピタフ。現在はLAのサンタモニカ通り沿いの一等地に城を構え、スタイルに囚われないクリエイティヴな〈パンク・スピリット〉を宿す良質の音楽をつぎつぎとリリースしている。メジャー・レーベルをも追い抜く勢いで運営継続爆進中なのである。