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第19回 ─ ゆるゆるディープ・サンフランシスコ

連載
Discographic  
公開
2003/10/23   12:00
更新
2003/10/23   16:41
ソース
『bounce』 247号(2003/9/25)
テキスト
文/青木 正之、高橋 玲子、出嶌 孝次、堀内 幸江

太陽とシスコ・ハウス!! ウィキッド・クルーやマーク・ファリーナ、ドック・マーティンらの活躍によって数年前からジワジワと浸透し、いまや高い評価を得ているアメリカ西海岸~ベイエリアのディープ・ハウス・ミュージック。今回はその周辺をユル~く漂うディープでカラフルなグルーヴを一挙に紹介!! 奥の深すぎるぬかるみに、ゆるゆるとハマっていきましょう

 独特の魅力と共に、いまや完全に認知を得たUS西海岸産のハウス・ミュージック。その聖地こそサンフランシスコであります。サンフランシスコといえば60年代には〈サイケデリック〉文化の聖地でもあったわけですが、そうやって脈々と根付いてきたヒッピー的な土地柄もあってか、80年代後半にはアウトドア・パーティーが盛んになりました。この動きのなかから結果的に確立されていったのが西海岸ならではのハウス・シーンです。かのダブトライブ・サウンド・システムも80年代末に野外パーティーをオーガナイズすることから活動を始めていますし、ロンドンからやってきたサウンドシステム=ウィキッド・クルーが行ったパーティーは大きなムーヴメントとなってサンフランシスコの新しい潮流を大いにアピールしました。そうやって、90年代半ばになると西海岸産のハウスは世界中に広まっていきます。ダブ、ディスコ、サイケ、ラテン、アシッド、テック、レイヴ、トライバル、チルアウト……とさまざまなキーワードを手繰り寄せることができる音楽なのですが、それらに共通しているのは捉えどころのない〈ユルさ〉。そのディープな〈ユルさ〉こそがここで紹介している種々の音楽をボーダレスに繋ぐキーワードに他なりません。

 ちなみに本頁で紹介しているアーティストが必ずしもサンフランシスコ~西海岸出身だというわけではないのですが、これらの音楽に流れる共通したヴァイブはまさしく〈ディープ・サンフランシスコ〉そのもの。サンフランシスコより愛を込めて!