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第31回 ─ ヒゲの王様、ロバート・ワイアットの〈クークーランド〉を訪ねてみよう!

第31回 ─ ヒゲの王様、ロバート・ワイアットの〈クークーランド〉を訪ねてみよう!(5)

連載
360°
公開
2003/10/09   17:00
更新
2003/10/10   14:58
ソース
『bounce』 247号(2003/9/25)
テキスト
文/村尾 泰郎

ジャズという大きな故郷

ワイアットの大きなルーツ、ジャズ。「ジャズを好きになると世界中の人と繋がった気がする」という彼がもっとも敬愛するアーティストはマイルス・デイヴィスで、“'Round About Midnight”のカヴァーはセロニアス・モンクというよりも、マイルスのニュアンスに近い。また、新作に参加したカレン・マントラーの母にして鬼才ジャズ・ミュージシャン、カーラ・ブレイが編曲を手掛けたチャーリー・ヘイデン『Liberation Music Orchestra』からは、“Song For Che”をカヴァー。政治性とアートの融合はまさにワイアット風味。そして、ビリー・ホリデイ“Strange Fruit”のカヴァーで見せた味わいは、天才シンガー同士の魂の交流!なのです。

GORKY'S ZYGOTIC MYNCI
21世紀にカンタベリー・スピリッツを継承するのはこの人たち。実際、マッチング・モール“O Calorine”をデビュー作で披露。シングル・コンピ『Introducing Go-rky's Zygotic Mynci』(Polygram)ではソフト・マシーン“Why Are We Sl-eeping?”のカヴァーを収録と、先輩への敬意を忘れない。

CORNELIUS
ミュージシャンとしてはもとより、リミキサーとしても人気者のCORNELIUS。そんな彼が、かつてリミックスを頼んだ一人がワイアットだった。結局、夢は実現しなかったけれど、『Point』(トラットリア)で聴くことができるミニマルな音のさざ波や、押しつけがましくないスピリチュアルなヴァイブレーションは、ワイアットへの控え目な(でも濃厚な)ラヴレターだったのかも。