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第31回 ─ ヒゲの王様、ロバート・ワイアットの〈クークーランド〉を訪ねてみよう!

第31回 ─ ヒゲの王様、ロバート・ワイアットの〈クークーランド〉を訪ねてみよう!(4)

連載
360°
公開
2003/10/09   17:00
更新
2003/10/10   14:58
ソース
『bounce』 247号(2003/9/25)
テキスト
文/村尾 泰郎

カヴァーで見せる歌の魅力

 ヴォーカリスト、ワイアットの魅力に触れるには、カヴァー曲も外せない。モンキーズ“I'm A Believer”のカヴァーは、ワイアットが唯一ポップ・チャートに送り込んだヒット曲。事故を経てシーン復帰後のリリースだけに、ここにある躍動感は感動的だ。また、まるで自作曲のような深い解釈で聴かせるシックのカヴァー“At Last I Am Free”は、ワイアットの代表曲のひとつ。聴くほどに〈Free〉の一言が、しんしんと胸に降り積もります。そして、ピーター・ガブリエル“Biko”のカヴァーは共闘宣言。アパルトヘイトへの怒りを静かに歌い上げながら、そこにはかなげな叙情を滲ませるあたりはワイアットならではのセンスじゃないでしょうか。