ワイアット国王、孤高の履歴書
ワイアットのソロ作を3作だけ(涙)紹介するなら、まず初ソロ作『End Of The Ear』から。フリーキーなドラミングとイコライジングされた声が織りなす壮大なアヴァンギャルド叙情詩が味わえる。また、73年に事故に遭い以後車椅子生活を余儀なくされた彼の復帰作『Rock Bottom』は、ヒュー・ホッパーやマイク・オールドフィールドといった仲間たちの感動的なパフォームに支えられた一枚。最愛のパートナー、アルフリーダに捧げられた収録曲“Alfib”は、祈りの言葉のように簡潔で深い美しさに満ちている。若いアーティストやワールド・ミュージックとの交流を深めた80年代を挟み(もちろん、この時期のアルバムも名盤揃い!)、90年代にワイアット健在を力強く宣言した傑作が『Shleep』。新作とほぼ同じメンツで制作された本作は、彼のキャリアを大きな流れで包括した美しきモニュメント。そして、伝説はいまも続いているのです。