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インタビュー

LONG REVIEW――BROWN SUGAR 『ballad』

 

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福岡を拠点に活動するタフでセクシーな女性ユニット、BROWN SUGAR。これだけ隆盛した日本のレゲエ・シーンであっても、女性ユニットという存在はいまだ稀だが、それに加えて、あるときは野太い声でアグレッシヴなフロウを畳み掛け、あるときは艶やかな声で伸びやかに歌い上げる彼女たちのフレキシブルなシングジェイ・スタイルは、突出した個性を放っているわけで……。常に全力投球、常に情熱的、そんなジャンルレスに通じる〈女前〉なヴァイブスもまた2人の代名詞というべき魅力だし、だからこそレゲエの枠を超えて愛されていることにも大いに納得できる。

4枚目のアルバム『ballad』は、フィーチャリングを多く迎えた前作と反して、コラボ曲は一切なし、より2人の〈素顔〉を感じさせる内容に。己の力で未来を切り拓けとエールを贈る“Rock My World”、自分を信じる強さを持とうと導く“I Believe”など、ハードなダンスホール・トラックに載せてタフなメッセージを炸裂させたかと思えば、初のバラードとなる哀愁のリード曲“Talk To Me―キミノモトへ―”では愛しい人との別れ、後悔、感謝を感情豊かに歌い上げ、ロッキンなアップ“Naite”では〈あきれるほど泣いて泣いて泣きまくれ〉と悲しみを溜め込まず吐き出すことの大切さを綴る。2人は、本作で自身のなかにある強さ/弱さの二極性を描き、また〈女前〉の表現の幅を広げた。傷みや苦しみを超え、這い上がろうとする精神、それこそレゲエ・ミュージックの源。BROWN SUGARの内に秘められたラガ・スピリットが色濃く出た作品である。

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年07月07日 18:00

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