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角野隼斗 ピアノリサイタル “Klassik Arena”でプリペアド・ピアノによるケージ作品が話題!

高橋悠治
プリペアド・ピアノを調整する高橋悠治

角野隼斗 ピアノリサイタル “Klassik Arena”でケージ『プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード』が話題

2025年11月29日(土)、横浜のKアリーナで開催された「角野隼斗 ピアノリサイタル “Klassik Arena” supported by ロート製薬」は、「屋内のソロピアノリサイタルで販売されたチケットの最多枚数」(18,546枚)として世界記録に認定されたことや、舞台演出に真鍋大度氏を招き「音楽と映像の融合」を狙ったクラシック新体験のステージが話題となっています。その中で、ステージに通常のピアノ(スタインウェイ)とスクエアと置かれたプリペアド・ピアノの演奏も話題となっています。

プリペアド・ピアノとは
通常のピアノの弦の間にボルトやゴムなどを挟んで異物を装着し、音色を変化させた楽器です。これにより、ピアノの音を打楽器や鐘、ガムランのようなさまざまな音に変えることができます。アメリカの作曲家ジョン・ケージが1940年に考案した手法です。

“Klassik Arena”では、バッハやベートーヴェン、自作などの間で、ジョン・ケージ作曲『プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード』より ソナタ第1番、ソナタ第5番、ソナタ第12番が演奏され、通常のピアノ作品でも一部分をプリペアド・ピアノで弾いて変化を与えるなど、プログラムのアクセントとなっていました。

角野隼斗による同曲録音はまだ出ていませんが、1975年に世界的な現代作曲家でピアニストの高橋悠治(1938年、東京生まれ)が最初期のデジタル録音(PCM録音)で先駆的な録音を行っています。12月17日にタワーレコードの企画で世界初SACDハイブリッド化して発売いたしますので、ここでご紹介いたします。
(タワーレコード)

高橋悠治

国内盤SACDハイブリッド


〔DENON原盤ORTマスタリングSACDシリーズ第17回〕
"プリペアド・ピアノ"の記念碑的楽曲の高橋悠治による演奏がここに初SACD化!今回<特別収録>としてケージ作品に触発された黛敏郎の「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品」(1957年初演)をカップリング。ORTマスタリングを用いたハイレゾ化による初SACD化!ジョン・ケージ研究に関しての第一人者である白石美雪氏による新規解説を掲載

20世紀を代表する現代音楽家ジョン・ケージ。彼の《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》をデジタル録音初期の1975年に高橋悠治は録音していました。今回は、アナログ録音時代の1969年に録音された黛敏郎の《プリペアド・ピアノと弦楽のための小品》をカップリング。日本コロムビアが独自に開発したORTマスタリング技術によりハイレゾ化(2を除く)を行い、初SACD化。音場・音質が鮮やかに向上しています。CD層も今回のマスタリング音源を使用しています。

ジョン・ケージは20世紀を代表する現代作曲家としてとりわけ実験音楽の分野で世界的影響を与え、日本においても聴衆のみならず同じ作曲家に強烈なインパクトを与えました。音楽の新たな可能性を拡げ、ケージにより音楽自体の定義もより広範囲になったと言えます。今回高音質で復刻を行った"プリペアド・ピアノ"の分野においてもピアノの弦に異物を挟むという発想自体がユニークかつ当時唯一であり、打楽器的な使い方は傾倒していたガムランからの影響も伺えますが、その手法により、新たな領域が増えたことは確かでしょう。"プリペアド・ピアノ"の手法に関しては今回<特別収録>としてカップリングの黛敏郎がいち早く作品に取り入れるなど、その後も武満徹をはじめ採用する日本の作曲家が出ています。尚、60分近くに及ぶ《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》の演奏自体は非常に高度で技術的にも困難ですが、既に'60年代から当時の若手演奏家や作曲家を中心に最先端の音楽を演奏する土壌は日本にあり(小澤征爾や若杉弘他)、ピアニストとしての最先鋒のひとりに高橋悠治がいました。

この時の録音時を振り返っての後日談として、録音を行うための準備がかなり大変だったとのこと。弦へのセッティングにかなりの時間と労力がかかり、若かったとは言え、疲弊の度合いはすさまじかったようです。演奏自体できるピアニストはかなり限定されますので、ここに残った音源自体非常に貴重なものです。曲としては多くのケージ作品の中でも繊細さと躍動感のレンジが幅広く、スケール感豊かな作品として非常に魅力的なのですが、元々録音自体が少ないこともあってこのアルバムはCD時代でも人気があり、何度か再発されてきました(最近では北村朋幹による新録もあり)。一部のファンにとってはかけがえのないこの録音は元々当時最先端のコロムビアによるデジタルで明晰に録られており、ピアノの細部まで捉えた優秀録音盤としても良く知られています。今回、ORT技術を用いバランスにも留意しながらこの名演・名録音のSACD化を行いました。これにより更なる曲の再発見に繋がることを期待します。尚、今回の解説はケージ研究の第一人者である白石美雪氏による新規解説を掲載しました(「ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー」(武蔵野美術大学出版局)が第20回吉田秀和賞受賞)。詳細な解説と、特に今回カップリングの黛作品の解説は資料が少ない作品でもありますので貴重です。尚、<特別収録>の「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品」はデジタル化以前の1969年のアナログ録音で収録されておりましたので、ORTではなく従来のアナログ・テープからの最新復刻を行いました。
(タワーレコード)

【曲目】
1. ジョン・ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード
2. 黛 敏郎:プリペアド・ピアノと弦楽のための小品 <特別収録>

【演奏】
高橋悠治 (ピアノ)
植木三郎 (ヴァイオリン) (2)、 板橋 健 (ヴァイオリン) (2)、
江戸純子 (ヴィオラ) (2)、 矢島三雄 (チェロ) (2)

【録音】
1975年12月 (1)、1969年10月 (2)、 日本コロムビア第1スタジオ

【Original Recordings】
制作担当:川口義晴 (1)
録音担当:林 正夫 (1)

【原盤】
日本コロムビア

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