若き俊英ヴァイオリニストとピアニストのデュオによる秀逸なCD録音演奏である。
本CDに収められている曲に聴きなれたクラシックファンでも、一度この2人の演奏を聴けば、その完成度に思わず耳を傾けうならされるほど、ハイレベルで充実した作品に仕上げられている。
ショーソンの「詩曲」では、ヴァイオリンがたっぷりとゆったりしたテンポでメロディーを朗々と謳いあげ、ピアノはヴァイオリンの音色に乗せて、浮き立つような美しい分散和音を響かせる。ヴァイオリンは高音部はシャープで繊細、透明感ある透徹した音色が際立つ。
主張の意図が明確に示されるメリハリのある演奏は、中でも後半部のクライマックスに達する速いパッセージに向けてのスリリングな切迫感に説得力がある。
フランクのヴァイオリン・ソナタは、奏者がまさに満を持して収録したと思われる充実感に溢れた演奏が繰り広げられる。福澤のヴァイオリンは力まず慌てずせっぱつまらず、たっぷりと余裕のある、つねに聴き手に語りかけるような歌い方を貫徹する。技術的にもフレージングや音色の緻密な変化のつけ方が際立っており、低音は太く重厚感があると同時に、ピンと筋の張った伸びのある音色を醸しだす一方で、高音は細い線で透徹した美しい音色を輝かせる。ヴァイオリンを終始支える北端のピアノは、一貫して透明感ある深く味わい深い響きを保持している。