儚くも鮮やかで、美しくも哀しく、和の美を凝縮したような透明感のあるピアノに心が洗われます。
神秘的で心癒される作風で世界的にも高く評価されている松居慶子の98年発表作。
美しくも冷ややかで神秘的なピアノが静寂を突き破り、和笛のように繊細で感傷的なサックスと絡む「Night Hawk's Dream」。鮮やかで儚いメロディーから、時に激しいまでの情念を感じさせるフレーズもあり、心が震えます。「Steps In The Night」は、軽やかにステップを踏みながらも、美しくも哀しいフレーズが胸に染みます。AORやフュージョンが好きな人も琴線に触れるのではないでしょうか。
「Full Moon And The Shrine」は、タイトルどおり、澄み切った夜空に浮かぶ満月と静かな佇まいの社を想起させるクリスタルで神秘的なバラード。静謐で切ないほどに美しくドラマティックなピアノに心洗われます。「Forever, Forever」は、穏やかで温もりのあるピアノに思わず涙腺が緩みます。深い優しさと慈愛に満ちた素晴らしいナンバーです。
この他にも情熱的でラテンの香り漂うアップテンポの「Southern Crossings」、朝焼けのように爽やかで穏やかなサックスとのコラボレーションに癒される「Legend Of The Trees」、美しくも繊細で物悲しい「Presence Of The Moon」など、心に訴える楽曲の数々。
5歳の頃からピアノを弾き始め、学生時代から国内外で演奏活動を行い、これまでに3枚のアルバムがビルボードのコンテンポラリー・ジャズ・チャートで1位を記録。本作もスムース・ジャズ部門の年間総合売上3位。そんな輝かしい業績もさることながら、深く心に響くピアノの調べにいつまでも身を委ねていたい・・・そんなアルバムです。