メンバーズレビュー一覧

ブルーエバンスさんが書いたメンバーズレビュー

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(全8件)

春祭のみのレビューですが、残響感が付加され磨き込まれた音質で69年の録音とは思えない高品質なディスクです。
減点はしませんが、強いて言うと最終章の「いけにえの踊り・えらばれた乙女」は、USアナログ盤で聞かれる倍音感がやや不足する印象でした。やはりアナログ盤は奥が深いと再認識した次第です。

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ペレアスの印象

イング・スピネット、他

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

CDの1曲目は、「牧神の午後への前奏曲」(2台のピアノ編曲版)ですが、ECM New Seriesからリリースのドビュッシー「プレリュード集」で演奏されたベヒシュタイン:アレクセイ・リュビモフ、スタインウエイ:アレクセイ・ズエフの演奏とは全く異なる音響体験です。
ストレートストリング・コンサートグランドによる「牧神」は、平行弦のためか低音の倍音がとてもピュアに響きます。こんな豊かな響きはスタインウエイでは得られないと感じます・・・。
本編である「ペレアスの印象」の演奏は、歌手の歌うフランス語の美しい響きとストレートストリング・ピアノの音が調和して極上の音楽を味わうことができます。

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クリスティーナ・プルハーとラルペッジャータによる『モンテヴェルディ:愛の劇場』。
オリジナルは2008年の録音で、モンテヴェルディのマドリガーレを、自由に現代的解釈でアレンジを施した演奏で当時ヒットしました。
中でもフィリップ・ジャルスキー (カウンターテナー)の歌う「マドリガーレ集 第9巻 ~苦しみは かくも甘き」には、あまりの美しさに大きな衝撃を受けました。

録音はデジタルですが、クラシックなので誇張の無い自然な音が良く、テオルボやダルシマーなどの小さな音量の楽器でも、定位が判りやすく録音も素晴らしい作品です。

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September Night<限定盤>

Tomasz Stanko Quartet

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

2018年に享年76で他界したポーランドを代表するトランペッター、トーマス・スタンコが、ECMデビュー前夜のマルチン・ボシレフスキ・トリオをフィーチャーしたカルテットで繰り広げた2004年ミュンヘンでのライヴ音源。
2004年のマルチン・ボシレフスキは、マヌ・カチェの名盤「ネイバーフッド」にもスタンコと共に参加しましたが、彼のピアノ・タッチはとても素晴らしく美しい音でした。このライブもホール・トーンを活かした良い録音で、久々にECMらしい音楽を堪能しました。

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昨年は、シェーンベルク生誕150年でした。12音技法により音楽を革新した彼は150年前に生まれたという事実に驚きます。
1946年にニューヨークのジュリアード音楽院の校長だった作曲家、ウィリアム・シューマンの提唱により、ジュリアード音楽院の教授らによって結成されたジュリアード弦楽四重奏団。その目的は同音楽院での教育目的だけではなく、演奏会を通じて「スタンダードなレパートリーを生き生きと演奏しつつ、優れた同時代作品を見出し、古典作品に対してと同じ畏敬の念をもって取り上げる」というものでした。
1949年に、このアンサンブルは晩年のシェーンベルクをロサンジェルスに訪問して、弦楽四重奏曲のアプローチについて意見をたたかわせています。さらに翌1950年には御前演奏も行っており、このときの模様をロバート・マンは次のように述懐しています。
「シェーンベルクの予想した以上に、私たちの解釈はワイルドでした。そして、私たちが彼のために最初のカルテットを演奏すると、彼はそれが自分の予想もしていなかった解釈であると明かしました。わたしたちはショックを受けましたが、シェーンベルクは笑い出し、加えてこう云いました。『でも、そのように演奏してください、それでいいのです!』」
それから間もなく、作曲者が歿した1951年から翌52年にかけてコロンビアの30丁目スタジオで収録された4曲のシェーンベルクの弦楽四重奏曲を聴くことができます。

この時はモノーラル録音でしたが、その後65年に同スタジオでステレオ録音された4つの弦楽四重奏曲と聞き比べられます。
1番のみを聴いた印象で恐縮ですが、以下に書きます。

モノーラル版は、テンポも速くアグレッシブな演奏で、カルテットの意気込みが感じられます。録音は72年前の録音にしては比較的クリアで、オンマイクに近く残響が少ない印象でした。
対してステレオ版は、テンポがモノーラル版よりも遅く、弦楽の空間定位もはっきりし残響もあり、まさに30丁目スタジオの音でした。

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毎年この時期にコンスタントに発売されて昨年で4年目だ。とても充実した内容だが、第4集は、4年前から特に期待していた。70年代後半のジャコが参加したアルバムと「ミンガス」のセッション、『シャドウズ・アンド・ライト』の別会場でのライブなど期待以上の内容でした。

『逃避行 (原題: Hejira)』では、ジョニ・ミッチェルのギターだけの弾き語りで歌われるデモバージョンのピュアな雰囲気に感動します。


また「チェアー・イン・ザ・スカイ」のハービー・ハンコックのピアノ伴奏による歌が2種類収められ、78年のバークレーでのライブでは、アコースティックピアノで、79年のフィラデルフィアのライブではエレキピアノ。前者は特にジャッジーな雰囲気で最高です。

ジャッジーといえば、解説のキャメロン・クロウとの会話の中に、「Joni’s Jazz」というタイトルでこれまでのジャズミュージシャンとのセッションを収めたアルバムがリリース予定で、ウエインショーターの演奏はすべて入れるとか。これは期待大です!!!

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Live At Fillmore East, 1969

Crosby, Stills, Nash & Young

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

 このLPは、昨年購入したレコードのベストでした。
とはいえ録音は、1969年の9月にフィルモア・イーストで収録されたもので、ウッドストックのほぼ一ヶ月後です。
先のウッドストックでの衝撃的ライブから1か月しか経っていないにも係わらず、「青い目のジュディ」は、すでに異なるヴォーカルアレンジ(即興かも?)も楽しめます。
ニール・ヤング曰く
「(僕たちが)テープを持っていたんだけど、サウンドの臨場感が素晴らしくてね。僕たちはサンセット・サウンドでミックスをしたんだけど、ここで聴こえるのはその場所で実際に聴こえるアナログなエコー音であり、デジタル処理したエコー音は使っていない。プロダクションにおいて僕たちは全てをアナログで突き通した…、100%ね。アナログのみさ。デジタルは一切ない。つまり完全にアナログの作品なんだ」
と言う言葉どおり、まさにレコードで聴くべき作品です。
モーバイルーム(曲面構成されたオリジナル音響空間)で聴くとフィルモア・イースト会場の臨場感、その空気感とアコースティックな歌の響きに感動します!!!
スティーブン・スティルスの声も枯れてないです。
アナログプレーヤーをお持ちでしたら、お勧めです。

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The Old Country: More from The Deer Head Inn

Keith Jarrett

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

キース・ジャレットの新譜(録音は1992年)は、久々のトリオによるスタンダード曲の演奏ですが、ジャック・ディジョネットとポール・モチアンの差は圧倒的です。

「ディアヘッドイン」の最初のCD(94年にリリース)もそうでしたが、ポール・モチアンだとキース自身の同クラブへの里帰り気分もプラスされ、超リラックスした演奏が楽しめます。唯一モンクのストレートノーチェイサーは緊張感を感じますが、ジャック・ディジョネットのたたみかけるドラムではないので、何か抜けた感じもしました。

逆の意味で、キースがここまでリラックスして歌心満載のスタンダードを演奏した、というのも珍しく30年ぶりにリリースされる意味がありました!!

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