メンバーズレビュー一覧

ミーメさんが書いたメンバーズレビュー

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(全10件)

彼らしい天性のひらめき=譜読みの深さから、無限に広がる世界感を感じさせる好演奏。ただ気になるのは音があまり良くないこと。特に高音のフォルテの音のきつさ、歪っぽさが耳につく。これはピアニストのせいではなく、録音の問題ではないか。ピアノに突っ込んだマイクの音があまりにもダイレクトにスピーカーから出てくる。クリアではあるけど潤いに欠ける印象。

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ワーナー録音全集

ジネット・ヌヴー

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

ヌヴーのレコードはSP盤で聴くのが一番良いけど、従来のCDだとSP盤の音には遠く及ばないものが大半でした。ノイズを嫌がって高音をカットしちゃうんですね。その点、このセットは手に入るもののうち状態のもっともよいものを集めて丁寧に復刻していてSP盤特有の生々しさをかなり再現できていると思います。それらの音源がSP盤なのか、SP原盤から起こしたテープなのかなども詳しく書かれているので好感が持てます。

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名演として評判の高い演奏。ベルリン・フィルとの演奏も名演であるが、この演奏は熱気が違う。どこか冷静なところがあるベルリン・フィルに対して、北ドイツ放送響は指揮者との一体感が素晴らしく、音楽そのものにぐいぐいと引き込まれていく。

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ドイツグラモフォンの音といえば、良く言えば重厚で渋い音。悪く言えばもっさりして冴えない音、というイメージがあります。
でも最近出している「オリジナル・ソース・シリーズ」はすこぶる良い。
初回発売分を買いそびれていたクライバーのベートーヴェン7番。それを今日手に入れて聴いてみたところ、最初の一音が出ただけで驚いてしまいました。
単に高い音まですっきりと伸びているとかそういうものだけじゃなくて、各楽器毎の動きが手に取るようにわかる。ホールトーンが透明できれいに減衰していく。あぁ、クライバーはこういう表現をしたかったんだ、こういう響きを出したかったんだということが明確に理解できる。
それに比べてオリジナル盤は、もっさりしていてヴェール1枚どころか毛布1枚間に入っている感じ。試しに高音をちょっとあげてみても、なんとなくそれらしくはなっても、根本的に音の鮮度が違う。
SACDを聴いてみても、オリジナル盤ほど悪くはないけど音がなんだかざらざらしている。
よくある常套句ですが、「今まで何を聴いていたんだろう?」と。
そもそもこのレコードの初回発売分をなぜ買いそびれたかというと、音にはあまり期待していなかったからなんですね。元が悪けりゃいくら何をしても限度はあるだろうと。
第4楽章を聴いていると、ちょっと8kHzあたりかな、ちょっと強調感が気になるところもないではないけど、それでもやればできるんだなぁと思いました。むしろ70年代のドイツ・グラモフォンはいったい何をやっていたんだろうとも思うのです。

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バッハ・ブラームス・ベートーヴェン

川島基

4:
☆☆☆☆☆
★★★★★

川島さんはとにかく強靭なタッチと繊細な弱音のコントラストが素晴らしいピアニスト。今回も堂々たる演奏を繰り広げている。必要以上に感情に浸ることなく、淡々とした音楽運びは、一見平板なものに聴こえるかもしれないが、決して一音一音をおろそかにしない演奏は、聴き手に対しても集中力を要求する、じっくりと味わいたいもの。そしてハンマークラヴィーアの終楽章で、一気にエネルギーを爆発させる。この終楽章の爆発があって、それまでの、バッハとブラームスまでが聴き手の脳裏にフラッシュバックする。

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今までCDは勿論、オープンリールテープやエテルナ盤LPまで聴いてきましたが、今回のマスタリングはそれらとは一線を画するもの。音の艶、輝きから空間表現まで鮮明かつクリヤな音は、今まで聴いていたものは何だったんだろうと考えさせるほどのものです。

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この組み合わせでのブラームスは以前CDを持っていて、実は未聴のオープンリールテープもあるんだけど、それはともかく、立派な演奏ではあるものの、なんだか平板な音だなという印象を持っていました。
もともとセルのレコードは音が良くないという印象があったものの、ここ数年発売されているSACDのシリーズでは音の厚みや深み、冴えが再現されるようになって留飲を下げたものでした。
今回届いたこの録音と、ドヴォルザークの交響曲も実に素晴らしいリマスタリングだと思います。
さて、ピアノソロを受け持つルドルフ・ゼルキンですが、この人の演奏も随分長いこと聴いてきました。中2の時に買ってもらった、ベートーヴェンの協奏曲全曲とピアノソナタ集、特にその中のハンマークラヴィーアは、当時の私にはかなり難解な音楽でしたが、食らいつくように聴いたものです。
今回の新しいSACDを聴いて、やはりすごいピアニストだなという思いを新たにしました。
決して美しい音は奏でない。弱音はなんだか素っ気なく、強音では打楽器のような打鍵。まるでピアノに挑みかかるに演奏を繰り広げます。時折ペダルを踏みつけるような音も聴こえる。そこから聴こえる音楽は強靭で確固たる強い意志を感じさせます。
一方、モーツァルトはブラームスに比べて音の鮮度が一段落ちるのが惜しいけど、これはオリジナルマスターが失われていることが大きいのでしょう。演奏は、ブラームスよりは滑らかだけど、過度な感情移入は避けた端正なものです。セルの指揮も、カサドジュとの共演の時とは随分と違いますね。

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解説によると、ケーゲルは日本での評価が高いとのこと。その音楽づくりは彼が師事したベームに近いものがあると思う。決して速くはないテンポで丁寧に、聴きようによってはそっけない音楽運び。テンポを揺らしたりとか小節を効かせたりということはほとんどないにも関わらず、一音一音をないがしろにしない緻密さがある。これはこれでスコアとの正対の仕方であり、20世紀後半のスタイルであることを改めて感じさせる好演。

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以前のマスタリングであれば、穏やかで、ともすれば覇気のない演奏という印象もありました。しかし今回の目覚ましい音となって聴いてみると、この演奏は厳しい、辛口の演奏だなと思うのです。愚直なまでの拍の運びと明快なアクセント、そして壮年期を想起させる厳しさも健在。マスタリング(ミキシング)が変わると、演奏に対する印象も随分変わりますね。
ただ、やや高音がきつめに響くのが残念。

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ノイズをコンピューター処理で除去したとのことですが、除去の仕方が極めて不自然です。なんだかわけのわからないもやもやとしたノイズがまとわりつき、音楽に浸ることが全くできませんでした。このような処理ならノイズをそのまま残してた方がよかったでしょう。ノイズを殺して音楽も殺す。そういう処理にしか思えませんでした。

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