ドイツグラモフォンの音といえば、良く言えば重厚で渋い音。悪く言えばもっさりして冴えない音、というイメージがあります。
でも最近出している「オリジナル・ソース・シリーズ」はすこぶる良い。
初回発売分を買いそびれていたクライバーのベートーヴェン7番。それを今日手に入れて聴いてみたところ、最初の一音が出ただけで驚いてしまいました。
単に高い音まですっきりと伸びているとかそういうものだけじゃなくて、各楽器毎の動きが手に取るようにわかる。ホールトーンが透明できれいに減衰していく。あぁ、クライバーはこういう表現をしたかったんだ、こういう響きを出したかったんだということが明確に理解できる。
それに比べてオリジナル盤は、もっさりしていてヴェール1枚どころか毛布1枚間に入っている感じ。試しに高音をちょっとあげてみても、なんとなくそれらしくはなっても、根本的に音の鮮度が違う。
SACDを聴いてみても、オリジナル盤ほど悪くはないけど音がなんだかざらざらしている。
よくある常套句ですが、「今まで何を聴いていたんだろう?」と。
そもそもこのレコードの初回発売分をなぜ買いそびれたかというと、音にはあまり期待していなかったからなんですね。元が悪けりゃいくら何をしても限度はあるだろうと。
第4楽章を聴いていると、ちょっと8kHzあたりかな、ちょっと強調感が気になるところもないではないけど、それでもやればできるんだなぁと思いました。むしろ70年代のドイツ・グラモフォンはいったい何をやっていたんだろうとも思うのです。