III 現在のシーンにおけるシューゲイザーの影響力
2000年代に入ってからは、かつてのシューゲイザーの遺伝子を新たな感覚で伝えようとするアーティストが多数登場しています。もちろんモグワイやシガー・ロス、アルバム・リーフといった轟音ギター系やスロウコア系、幻想クラシカル系のバンドも見逃せませんが、とりわけ注目したいのはポスト・ロック~エレクトロニカのフィルターを通した音を作るアーティストです。コクトー・ツインズと仕事をしたプロデューサーを迎えて作品をリリースしているフランスのエレクトロニカ・バンドであるM83、ドイツの宅録アーティストで神秘的なアンビエント・サウンドを作り出すウルリッヒ・シュナウス、そのウルリッヒもアルバムに参加したシカゴ発ノイズ・ポップ・ユニットのアリエル、ヒップホップと生のギター・ノイズを融合させたようなイパなど。必ずしも生のバンド編成にこだわらない面々も含む彼らですが、決まって〈マイブラからの影響が、エレクトロニカ・サウンドの持つ気持ち良さと結び付いた〉なんて発言が飛び出します。コンピューターやサンプラーによるノイズと、メランコリックな旋律を掛け合わせるような試みが、今日のシューゲイザーに新たな息吹を吹き込んだのかもしれません。
そんななか、本家のマイブラも昨年復活。世界各国のフェスに出演し、〈フジロック〉で来日も果たしましたね! さらに〈ATP〉のキュレーターを務めたことも話題になりました。あとはこの〈キング・オブ・シューゲイザー〉のニュー・アルバムを待つばかり!?
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