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第38回 ─ FUSION

第38回 ─ FUSION(4)

連載
Di(s)ctionary
公開
2009/06/17   18:00
更新
2009/06/17   18:13
ソース
『bounce』 310号(2009/5/25)
テキスト
文/出蔦考次

III その後の流れと以降のシーンに与えた影響

 言うまでもなくフュージョンは現在進行形だよ。ただ、1時間目でも述べた通り、80年代以降のフュージョンは〈フュージョン〉という名前のサウンドを追求するようになって、そのなかでデヴィッド・サンボーンやケニーGらの人気者も生まれ、海外ではもう必然的に〈オトナの音楽〉たるコンテンポラリー・ジャズと同義語になっているみたいだ。ボブ・ジェイムズら往年のフュージョン・スターによるプロジェクト=フォープレイが、完全なスムース・ジャズ対応だったことからもその位置づけは窺えるよね。

 ただ、フュージョンが他の音楽に与えた影響はハンパなく甚大で、マハヴィシュヌ組のヤン・ハマー&ナラダ・マイケル・ウォルデンと組んで『Wired』を作り上げたジェフ・ベックなんて、以降の作品はすべて〈クロスオーヴァー〉そのものだし、スティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソン、スティーリー・ダンやYMO、スティングらの面々はフュージョン的な方法論でジャズを取り込んでいた(実際に演奏していたのもフュージョン畑の面々だった)わけで、特に80年代以降のコンテンポラリーなポップスは大部分がその影響下にあるんじゃないかな。

 また、往年のクロスオーヴァー時代にあったロック+ジャズ的なスタイルはデトロイトのURがライヴで継承していたりするし、日本にも9dwやPHEWWHOOのようにプログレ・フュージョンを標榜する人たちがいる。コズミックなインスト・バンドの親玉たるcro-magnonももちろんだし、誰も言わないけどSPECIAL OTHERSなんてまんまフュージョンじゃん! 聴いてビックリ! 彼らの音が好きならこのページに載ってるモノの半分ぐらいはオススメだね。

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