III その後の流れと以降のシーンに与えた影響
言うまでもなくフュージョンは現在進行形だよ。ただ、1時間目でも述べた通り、80年代以降のフュージョンは〈フュージョン〉という名前のサウンドを追求するようになって、そのなかでデヴィッド・サンボーンやケニーGらの人気者も生まれ、海外ではもう必然的に〈オトナの音楽〉たるコンテンポラリー・ジャズと同義語になっているみたいだ。ボブ・ジェイムズら往年のフュージョン・スターによるプロジェクト=フォープレイが、完全なスムース・ジャズ対応だったことからもその位置づけは窺えるよね。
ただ、フュージョンが他の音楽に与えた影響はハンパなく甚大で、マハヴィシュヌ組のヤン・ハマー&ナラダ・マイケル・ウォルデンと組んで『Wired』を作り上げたジェフ・ベックなんて、以降の作品はすべて〈クロスオーヴァー〉そのものだし、スティーヴィー・ワンダーやマイケル・ジャクソン、スティーリー・ダンやYMO、スティングらの面々はフュージョン的な方法論でジャズを取り込んでいた(実際に演奏していたのもフュージョン畑の面々だった)わけで、特に80年代以降のコンテンポラリーなポップスは大部分がその影響下にあるんじゃないかな。
また、往年のクロスオーヴァー時代にあったロック+ジャズ的なスタイルはデトロイトのURがライヴで継承していたりするし、日本にも9dwやPHEWWHOOのようにプログレ・フュージョンを標榜する人たちがいる。コズミックなインスト・バンドの親玉たるcro-magnonももちろんだし、誰も言わないけどSPECIAL OTHERSなんてまんまフュージョンじゃん! 聴いてビックリ! 彼らの音が好きならこのページに載ってるモノの半分ぐらいはオススメだね。