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第37回 ─ THRASH

第37回 ─ THRASH(4)

連載
Di(s)ctionary
公開
2009/05/21   02:00
更新
2009/05/21   17:48
ソース
『bounce』 309号(2009/4/25)
テキスト
文/粟野 竜二

III その後の流れと、現在のシーンに見るスラッシュの影響

 1時間目でも話した通り、80年代後半にかけてムーヴメントはピークを迎えるわけだけど、その頃から意識的に他ジャンルのエッセンスを採り入れたアンスラックスのようなバンドによって、スラッシュは徐々に形を変えていくんだ。そして、テキサス出身のパンテラが放った90年作『Cowboys From Hell』の登場をきっかけにシーンの主流がグルーヴ・メタルへと移行していき、同時期にメタリカが91年作『Meatallica』で速さより重さにシフトしたこともあって、ムーヴメントは衰退していくこととなる。

 だけど、スラッシュは決して死んだわけじゃない。ほら、帝王スレイヤーは唯一無二のスタイルを保持したまま常に最速&最強の作品をリリースし続けているし、ベイエリア出身のロブ・フリン(元ヴァイオレンス)が結成したマシン・ヘッドは、スラッシュとモダン・ヘヴィーネスを融合したサウンドで現行メタル・シーンをリードしているだろ? さらに最近だと、アンダーオースやアズ・アイ・レイ・ダイングといったメタルコア・バンドや、ミュニシパル・ウェイストを筆答としたスラッシュ・リヴァイヴァル勢にその血は脈々と受け継がれているよ。

 また、日本でもCOCOBATやUNITEDらヴェテラン勢をはじめ、メロディック・パンクとクロスオーヴァー・スラッシュをブレンドしたRAZORS EDGE、そしてX JAPAN経由で凛として時雨や9mm Parabellum Bulletといったメジャーなバンドにも、スラッシュの速さと激しさの遺伝子が継承されていることを加えておこう。

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