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第34回 ─ SKA

連載
Di(s)ctionary
公開
2009/02/12   13:00
更新
2009/02/12   18:10
ソース
『bounce』 306号(2008/12/25)
テキスト
文/斎藤 ジョゼ

さまざまな音楽ジャンルを丁寧に教えてくれる誌上講座が開講! 皆さん、急いでご着席ください!!

I スカの成り立ちと特徴

 今回の講義は〈スカ〉、なかでも60年代に流行したいわゆる〈オリジナル・スカ〉にスポットを当てていくよ。〈2拍目と4拍目を強調したキレの良い裏打ちギター・カッティングと、華やかなホーンを特徴とするジャマイカ発祥の音楽〉という程度はみんなも認識しているんじゃないかな? 今日はそこからちょっと掘り下げてみようか。〈誰がスカを作ったのか?〉っていうのは難しい質問だね。困ったことに、当時を知るアーティストは一様に〈俺がいちばん最初に演奏した!〉って言い張るんだ。かと思えば、〈US南部のラジオ局から流れてくるジャズが、電波の関係で2拍と4拍目だけ強調されて聴こえてきたことから生まれた〉なんて説まで存在する始末だからね。

 ともかく、スカ誕生の背景にはサウンドシステム(移動式ダンスホール)同士の競争も大きく関係しているんだよ。後にスタジオ・ワンという名門レーベルを設立するクレメント“コクソン”ドッドは、54年頃からサウンドシステムを開始。トレジャー・アイルを運営することとなるデューク・リードもそれに先駆けてサウンドシステムでのプレイを始めていて、人々は彼らのスピンするリズム&ブルースやジャズに熱狂したんだ。そんななか、各サウンドは次第にライヴァルが持っていない自分たちだけの〈特別なレコード〉を求めるようになったわけ。時は60年代初頭、ジャマイカがUKから独立する直前のことだ。島全体が祝賀ムードで沸くなか、〈特別なレコードが欲しければ作ってしまえ!〉とばかりに、USのリズム&ブルースやジャズ、そしてそれまで同地で主流だったメントやカリプソを影響源に、〈オリジナルでタフなダンス・ミュージック〉、すなわち〈スカ〉を作り出したんだね。その中心にいたのがスカタライツというバンドで、メンバー個々でも数々の名曲を残してるよ。それでは、次の時間で実際に聴いてみようか。

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