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第31回 ─ HARD BOP

第31回 ─ HARD BOP(4)

連載
Di(s)ctionary
公開
2008/09/25   01:00
更新
2008/09/25   18:24
ソース
『bounce』 303号(2008/9/25)
テキスト
文/馬場 雅之

III その後の流れと現在のシーンにおけるハード・バップの影響力

〈モード・ジャズ〉の出現もあって、ハード・バップ・ブームは60年代を前にして陰りが見えはじめるんだ。そのモード・ジャズの仕掛け人は、またしてもマイルス・デイヴィス。彼の59年作『Kind Of Blue』が引き金となったんだね。

 それはさておき、1時間目でも述べたように、その後に起こったフリージャズやソウル・ジャズなどの動きもあって、ハード・バップは一時期〈古いジャズ〉みたいなイメージを持たれていたんだ。でも、2000年代以降はファブリツィオ・ボッソ率いるイタリアのハイ・ファイヴ・クィンテットをはじめ、ニコラ・コンテやquasimodeなど〈ハード・バップ回帰〉を目論むアーティストが多数出現している。また、みんなもよく知っている日本の〈爆音ジャズ〉バンド、SOIL &“PIMP”SESSIONSだってリズムなんかはイマの感覚だけれどそこに乗る管楽器やピアノのハーモニーはモロにハード・バップの音なんだよね。そもそもジャイルズ・ピーターソンや須永辰緒がそれ以前からハード・バップをスピンしはじめ、その流れもあって新しいバンドが登場するようになったわけだけど、いままたクラブDJがこれらの生音に着目していることから、〈ハード・バップ回帰〉の波はどんどん広がっているんだ。時代は繰り返すっていうけど、一音聴いて〈あっ、ジャズだ!〉とわかる音が多くの若者に求められているんじゃないのかな?
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