II それでは実際に聴いてみよう! その2
ART BLAKEY AND THE JAZZ MESSENGERS 『Moanin'』 Blue Note(1958)
冒頭の〈タッタタラララタッタ~タ~ラ!〉はお馴染みだね! 『Cool Struttin'』も同じ年に誕生しているし、この頃がハード・バップの円熟期だとわかるよね。アート・ブレイキーのアーシーで粘っこいリズムは、レーベルの看板だったんだ。
DONALD BYRD 『Byrd In Hand』 Blue Note(1959)
キレが良くて端正なプレイが魅力のドナルド・バードは、ブルー・ノートの先輩トランペッターであるリー・モーガンに続く存在。後のソウル・ジャズ路線の影がまだまったく見られないこのアルバムは、バリトン・サックスを含む3管が唸るハード・バップ期の快作だね。
JACKIE McLEAN 『Jackie's Bag』 Blue Note(1959)
黒人が白人のジャズに対抗することで生まれたハード・バップだけど、実は白人にもハード・バッパーがいたんだ。その代表格がジャッキー・マクリーン。本盤は彼のブルー・ノートでの初リーダー作なんだけど、実はそろそろハード・バップ脱出を考えていた時期みたい。
CURTIS FULLER 『Blues-Ette』 Savoy(1959)
サヴォイを代表するアルバムで、冒頭曲“Five Spot After Dark”はTVCMにも使われていたし、村上春樹の小説でも取り上げられていたほど人気のある曲だよ。トロンボーンとテナー・サックスの2管によるハーモニーはちょっと柔らかめ。そこがまた良いんだけどね。
NAT ADDERLEY 『Work Song』 River-side(1960)
このアルバムはいまだとハード・バップと見るより、ソウル・ジャズ的に捉えられることのほうが多いのかな。表題曲は発表直後にオスカー・ブラウンJrがカヴァーしたヴォーカル・ヴァージョンもあって、曲調的にR&B的な印象を持たれているようだね。
LEE MORGAN 『The Sidewinder』 Blue Note(1963)
彼最大のヒット作だけれど、ハード・バップに替わる流行のスタイルもいろいろ出てきた時代のものだけに、いわゆるジャズ・ロックの古典的名盤としても知られているよ。なかでも8ビートを導入した表題曲は以降のジャズの方向性を示しているようにも聴こえるね。