過去も現在も自由自在に操る新生スタックスのラインナップ
『Interpretations -Celebrating The Music Of Earth, Wind & Fire』(2007)
新生スタックスの第1弾リリースは、ドゥウェレやレディシも参加したEW&Fのトリビュート盤となった。過去のレーベル・カラーに拘泥しない方針を示しつつ、歌える実力派ばかりを集めた顔ぶれからは芯の通ったセンスとポリシーを感じる。
(池谷)
JOHNNIE TAYLOR 『Live At The Summit Club』(2007)
かの映画「ワッツタックス」に一部が収録された72年のパフォーマンスをフルで収録したお宝ライヴ盤。ルーファス・トーマスによるイントロから臨場感たっぷりで、脂の乗った激唱がヒット群を豪快に披露していく。妙にラフな部分もあるが、そこがまた美味。
(出嶌)
SOULIVE 『No Place Like Soul』 Velour(2007)
新メンバーとしてヴォーカリストを迎えたジャズ・ファンク・バンドの最近作(のUS盤)はスタックスから。初期のインスト主体からソウル志向にシフトチェンジするという過程において、これ以上ないレーベルに辿り着いたと言えるだろう。現代のMG'sとなるか?
(池谷)
CARLA THOMAS 『Live At The Bohemian Caverns』(2007)
旧スタックスが誇るサザン・ソウル・クイーンによる67年の発掘ライヴ音源。自身のヒット・バラード“Gee Whiz”における感動のパフォーマンスもさることながら、ジャジーでスウィンギーな振る舞いでも魅せる。レーベルの奥深さを示すお宝盤だ。
(池谷)
ANGIE STONE 『The Art Of Love & War』(2007)
長いキャリアを持つソウル・シスターが、いままで以上に腰を据えてシンガーとしての深みを打ち出した一枚で、新時代の豊かなソウル・ミュージックを生む気概すら感じさせた。スタックスへの移籍は必然であり、アンジーをその境地へと導く刺激にもなったのだろう。
(池谷)
『Soulsville Sings Hitsville』(2008)
ソウルズヴィル(スタックス)勢が取り上げたヒッツヴィル(モータウン)ナンバーをまとめた新編集のコンピ。アイザック・ヘイズ“Never Can Say Goodbye”などの著名カヴァーがまとめて聴けるのは便利だし、バーケイズの〈悲しいうわさ〉など未発表モノや初CD化曲が多いのも嬉しい。
(出嶌)
LALAH HATHAWAY 『Self Portrait』(2008)
偉大な父、ダニーの才を受け継ぐ愛娘の4作目は、表題どおりに自身のソウルを飾らず表現したオーガニックな逸品。彼女本来のジャジーな素養も無理なく作品に溶け込んでおり、アーティスト自身の魅力をナチュラルに引き出すスタックスの包容力をも窺わせる内容だ。
(池谷)
『Stax Does The Beatles』(2008)
こちらはビートルズ(とメンバーのソロ)曲のカヴァーを集めたもの。『Abbey Road』を丸々再演したこともあるMG'sの出番が多いものの、蔵出しとなるオーティス・レディング“Day Tripper”の別テイクなども充実している。ジョージ曲がハマるのはソウル系のパクリが多いからか。
(出嶌)