II それでは実際に聴いてみよう! その1
NICK DECARO 『Italian Graffiti』 Blue Thumb/MCA(1974)
カーペンターズやビーチ・ボーイズのようなポップ・ミュージックに、もっと大人っぽいサウンド、ジャズやソウルのエッセンスを加えてみたら……。AOR元年とされる76年以前にそのコンセプトを語っていた編曲家・デカロの、まさに原点たる一枚。
BOZ SCAGGS 『Silk Degrees』 Columbia(1976)
AORが市民権を得たのは、このアルバムの大ヒットがあったからだろう。ソウルフルな歌声と音楽性に加え、バックを務めた若手ミュージシャンたちがTOTOを結成したという意味でも重要だ。全米TOP3の“Lowdown”や名バラード“We're All Alone”もここに収録されている。
NED DOHENY 『Hard Candy』 Columbia(1976)
アサイラムからデビューしたウェストコースト派シンガー・ソングライターのセカンド・アルバム。若々しいハイトーン・ヴォーカル、アコースティック・ソウル的な持ち味が大人気で、アヴェレージ・ホワイト・バンドやチャカ・カーンらがこぞって彼の曲を歌っている。
STEELY DAN 『Aja』 MCA(1977)
ハイブリッドなクロスオーヴァー・ミュージックとしてのAORをもっとも緻密に構築していたのが、70年代後半のスティーリー・ダンだろう。とりわけ本作や『The Royal Scam』『Gaucho』と、ドナルド・フェイゲンのソロ作『The Nightfly』の完成度はまさにパーフェクトと言える。
BOBBY CALDWELL 『Bobby Caldwell』 Clouds/TK(1978)
デビュー30年目のいまでも第一線で活躍する〈ミスターAOR〉! スティーヴィー・ワンダーから影響を受けたブルーアイド・ソウル寄りの音で人気を博し、全米TOP10ヒットの〈風のシルエット〉は、アリーヤや2パックなどの定番ソースに。
THE DOOBIE BROTHERS 『Minute By Minute』 Warner Bros.(1978)
マイケル・マクドナルドの加入で都会派サウンドに転進したドゥービー・ブラザーズ。これは78年に大ヒットしたグラミー4部門受賞作。マット・ビアンコのカヴァーでもお馴染み“What A Fool Believes”のユニークなリフで、当時のポップ・シーンを席巻!