II それでは実際に聴いてみよう! その2
NOSTALGIA 77 『Everything Under The Sun』 Tru Thoughts(2007)
英国ジャズの伝統を更新するベネディック・ラムディンのプロジェクトで、オクテットではアフロ寄りのグルーヴも披露しているけど、この最新作はモーダルな雰囲気の歌モノが主体。クラブ・ジャズ視点のリスニング・ジャズ……って言うと矛盾してるかな?
PHAROAH SANDERS 『Love Will Find A Way』 Arista/Solid(1977)
過去の音源であろうと、機能性という審美眼を持って公平に接するのが〈クラブ・ジャズ〉なんだ。本作のメロウな表題曲がジャズDJの定番となっているファラオなど、この文脈で得られるリスペクトは、いわゆるジャズ界での序列とかとは関係ないんだよね。
REEL PEOPLE 『Second Guess』 Papa(2003)
“Spiritual”などジャズ~ハウスDJに愛されたソウルフルな名曲で知られるロンドン出身のコンビ。昨年の次作ではUKソウルと呼べるスタイルを標榜していたし、サウンド的には他の文脈で評価されるものも多いけど、クラブ・ジャズはそういうセグメントを俯瞰しているんだよね。
ST GERMAIN 『Tourist』 Blue Note(2000)
フランスのFコミュニケーションズで活躍したディープ・ハウス職人のブルー・ノート盤で、当時〈ニュー・ジャズ〉とも呼ばれた一群を代表する名作。ギターにアーネスト・ラングリンを迎えた“Montego Bay Spleen”など、ダビーなダウンテンポやハウスと生音の共存が聴きモノなんだ。
『Truby Trio - DJ-Kicks』 !K7(2001)
ドイツ産フューチャー・ジャズの要人、ライナー・トゥルービーが率いるトリオのミックスCD。オリジナル作も良いけど、コンジュアから始まる本作で〈クラブ・ジャズ〉という視点の自由さを知ってほしいね。なお、クリスチャン・プロマーはドラムレッスン名義で生ジャズに挑戦中だ。
TWO BANKS OF FOUR 『City Watching』 Sirkus/Pヴァイン(2000)
元ガリアーノのロブ・ギャラガーとディマスが、演奏者たちの閃きと繊細なプログラミングを融合させんと試みた処女作。モンゴ・サンタマリア“Afro Blue”を取り上げるセンスも流石だ。もっと有機的なスピリチュアル志向を強めるこの後の2作品も超名盤だからね!