NEWS & COLUMN ニュース/記事

第24回 ─ CLUB JAZZ

第24回 ─ CLUB JAZZ(2)

連載
Di(s)ctionary
公開
2008/03/06   19:00
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

II それでは実際に聴いてみよう! その1

THE FIVE CORNERS QUINTET 『Chasin' The Jazz Gone By』 Ricky-Tick(2005)
ヘルシンキの5人組で、ハード・バップ~ラテン・ジャズをモチーフにした機能性重視のダイナミックなライヴ・サウンドがDJ陣に絶賛されたんだ。ユッカ・エスコラやテッポ・マキネンら構成員の活躍も含めて現行シーンの立役者だと言えるかな。

INNERZONE ORCHESTRA 『Programmed』 Planet-E(1999)
デトロイト・テクノ界隈も広義のクラブ・ジャズ地図を織り成す一要素だ。カール・クレイグが仕切った本作は、プログラミングと生音の過激な拮抗ぶりがヤバい名盤。カールはこの後デトロイト・エクスペリメントでトライブら地元のジャズ遺産にもアプローチしているよ。


JAZZANOVA 『In Between』 JCR/Compost(2002)
90年代にベルリンでフューチャー・ジャズ/クロスオーヴァーを推進した大御所ユニットの初アルバム。エレクトロニカ寄りな初期の音から、ここではブロークン・ビーツ+ネオ・ソウル的な作りに移行しているけど、それはそのままクラブ・ジャズの解釈を広げることになったんだ。

KOOP 『Waltz For Koop』 JCR/Compost(2001)
ユキミ・ナガノをフィーチャーした表題曲がジャイルズ・ピーターソンらの支持を受けて、クラブ・ジャズ文脈における北欧アクトへの注目度をアップさせた2作目だ。次作『Koop Islands』では60年代ジャズからスウィングにまで遡る優美なレトロ・サウンドへと移行しているね。

『Kyoto Jazz Massive』 フォーライフ(1994)
アシッド・ジャズ時代に生まれた〈クラブ・ジャズ〉提唱者のコンピ。4ビートのジャズやDJ KRUSHのジャズ・ヒップホップ、マスターズ・アット・ワークのハウスなどを近しいヴァイブによって融和させることで、結果的にクラブ・ジャズの振り幅を実証していたことが重要なんだ。

NICOLA CONTE 『Other Directions』 Blue Note(2004)
イタリアのスキーマでジェラルド・フリジナと並んで腕を振るってきたDJが、ラウンジーなボッサ路線からピアノを活かした端正な作りにシフトした金字塔。モダン・ジャズ回帰の気運を作り出し、昨今のヨーロピアン・ジャズ隆盛の基礎となった作品のひとつでもあるね。