III その後の流れと、現在のシーンにおけるパブ・ロックの影響力
パブ・ロックの持っていたシンプルなロックンロール・サウンドと観客との近い距離感は、そのままパンク・ロックへと引き継がれます。例えばダムドのプロデュースをニック・ロウが手掛けた……というような具体的な接点もありますが、ジョー・ストラマーが元パブ・ロッカーだったり、もしくはジャムの初期音源などを聴いてもダイレクトな繋がりを感じることができるはず。また、マッドネスやスペシャルズのような2トーン勢、デキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ、ポーグスなどにも〈ルーツ音楽を新たなカタチで楽しもう〉というアティテュードは継承されました。それに、パブ・ロックをポップに昇華したコステロやスクイーズにも、ルーツ感は常に存在していますしね! 現在のシーンに目を移すと、ストレートなロックンロールにトラディショナルな要素を加えて新鮮さを生み出したリバティーンズ、ランブル・ストリップスらテムズ・ビート界隈のバンドにその幻影を見ることができるでしょう。日本ではミッシェル・ガン・エレファントがパブ・ロックからの影響を公言し、パイレーツのミック・グリーンと共演シングルも出していました。また、Theピーズ、クロマニヨンズなどからもパブ・ロックの影響を強く感じますよね。このように、パブ・ロックはいまも世界中のミュージシャンたちの心を熱くし続けているのです。
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