Ⅱ では、実際に聴いてみよう その2
CULTURE CLUB 『Kissing To Be Clever』 Virgin(1982)
場違いだって? いや、そんなことはナイ! 本デビュー作で展開されるソウルとラテンを融合したファンカラティーナ色の濃いダンス・チューンは、いま聴き返すと想像以上に黒いぞ! ファンカラティーナと言えば、ヘアカット100やモダン・ロマンスも忘れ難いね。
ORANGE JUICE 『You Can't Hide Your Love Forever』 Polydor(1982)
メンフィス・ソウルに恋焦がれたパンク青年、エドウィン・コリンズの熱情がポップに結実した青春の一枚。アル・グリーンのカヴァーにも挑戦してるが、ひたすらモタモタ&ズンドコ。けれど憧憬に向けたその一途さが染みるんだ。こんな恋もあっていい。
SIMPLY RED 『Picture Book』 Elektra(1985)
繊細ながらも力強いミック・ハックネルのヴォーカルに圧倒されるデビュー作。同時期のエレクトロニクスを多用したバンドと比べるとサウンドは実にストイックだが、古き良きソウルの伝統を継承しながらも、英国の白人でしかありえない独自性が見事に表れている名盤。
STEVE WINWOOD 『Back In The High Life』 Island(1986)
ヴァン・モリソンと並ぶ天才肌の職人シンガー。60年代のスペンサー・デイヴィス・グループ~トラフィックの頃から黒光りする歌唱には定評があったが、モダンな色彩溢れるこのソロ作でも黒い魂は普遍。ポール・ウェラーの歌手人生の目標はたぶんこの人だね。
THE BLOW MONKEYS 『She Was Only A Grocer's Daughter』 RCA(1987)
世間的な評価はスタイル・カウンシルのほうが高いけど、僕は断然こちらを支持! 洒脱でダンサブルな音とキザなドクター・ロバートの甘歌は、ソウル愛に対するポップなオトシマエ。シングルではカーティス・メイフィールドとの共演も!
LISA STANSFIELD 『Affection』 Arista(1989)
煌めく80'sという時代の末尾を飾ったレディー・ブルーアイド・ソウルの傑作。当時の先端であったグラウンド・ビートやガラージ・ハウスを吸収したアーバンなトラックにシルキーで麗しいリサのヴォーカルが乗れば、気分はすっかりバブリー・ナイト・クルージングだね。