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第20回 ─ BLUE-EYED SOUL

連載
Di(s)ctionary
公開
2007/11/08   00:00
更新
2007/11/08   17:38
ソース
『bounce』 292号(2007/10/25)
テキスト
文/北爪 啓之

さまざまな音楽ジャンルを丁寧に教えてくれる誌上講座が開講! 皆さん、急いでご着席ください!!

Ⅰ ブルーアイド・ソウルの成り立ちと特徴

 さっそく講義を始めるよ~。今回のテーマは〈ブルーアイド・ソウル〉だ。直訳すると〈青い目のソウル=白人によるソウル〉になるけど、もっと突っ込んで言うと〈ソウルへの憧れや敬愛をサウンドの根底とした白人音楽〉って感じかな。この言葉が使われ出したのは60年代半ばからで、異様に黒い歌唱で人気を博したライチャス・ブラザーズが浸透させたというのが定説だ。そもそもこの呼称自体に〈白人には本物のソウルは歌えない〉という諦念めいた意味を感じるけど、逆に〈白人には白人なりのソウルが歌える〉とも解釈できるよね。それを実践したのがヤング・ラスカルズで、彼らこそブルーアイド・ソウルの真の開拓者なんだ。他にはヴァン・モリソンやトニー・ジョー・ホワイトも独自のソウル道を邁進した強者と言える。意外に思うかもしれないけど、70年代のシンガー・ソングライター(キャロル・キングやジェイムズ・テイラーなど)にもソウルフルな作品があって、それは当時の黒人シンガーによるニュー・ソウル運動と呼応し合った結果の産物なんだよ。

 70年代後半にはいろんなジャンルを呑み込んだアダルトなロック=AORが台頭するんだけど、その一部はソフィスティケイトされたブルーアイド・ソウルと読み換えることも可能。また同時期のディスコ・ブームも、仕掛人の多くが白人だったことはしっかりと留意しておきたいね。そして、80年代に入ると往年の黒人音楽をマニアックに聴き込んでいたUKの若者たちが俺流ソウルを追求し出すんだ。でも、ブルーアイド・ソウルという呼称もここらでちょっと一区切りという感もある。

 さてと、概要はこれくらいにして、さっそくテキストを聴いてみようか。入門編の講義だからあまり濃すぎないものを選んでみたので、誰でも気軽に楽しめると思うよ。