――でも電気グルーヴって、求められていることに応えるって面が強いよね。ポップ・フィールドでの成功を期待されているわけだから。
石野 でもさ、実際この10年、電気ってほとんど活動してないからね。よくわかんないんだよね。一番新しいアルバムの『VOXXX』だって、もう7年も前だしねえ。いまや実体があるのかどうかもよくわかんないし……去年ちょっとライヴやったぐらいだから。
――でもライヴをやった時点でアルバムの構想はあったわけでしょ。
石野 あったよ。曲もいくつかできてたし。
――それは〈求められているもの〉じゃなくて〈やりたいもの〉だったの?
石野 それがよくわかってなかったから、作業がストップしちゃったんじゃないかな。
――同じ作業でも、〈電気〉って名前がつくだけで心持ちが違う。
石野 そうだね。まあ今後、(電気の)活動の予定はあるんだけど、あまり具体的なことは言いたくないんだよね。ここで喋ったことに、あとで縛られちゃうのもイヤだしさ。求められていることに縛られて、やりたいこととのバランスが崩れちゃうから。
――サービスの話に戻ると、DJの場合、クリエイターとは違うバランスがあるよね。
石野 そうだね。DJってサービス業的な部分が多々あるからさ。パーティーの空気を読んで合わせなきゃいけないし。
――逆に、サービスする楽しさってあるわけじゃん。
石野 あるある。
――あなたの場合、それはDJによって満たされてるってことなのかな。
石野 ああ! そうかもね。しかもDJだとリアルタイムでわかるじゃん。
――DJでサービスして、クリエイターとしては好きにやるのが、あなたのやり方だ。
石野 まあね。それはアウトプットによって違ってくるけど。
――あなたの場合アウトプットがたくさんあるからね。
石野 うん、それはまあ恵まれてると思うよ。
◆来週は最終回! 〈WIRE07、そして電気は?〉編をお送りいたします!