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第126回 ─ グッド・ヴァイブを次々に醸造する信頼のブランド

第126回 ─ グッド・ヴァイブを次々に醸造する信頼のブランド(3)

連載
360°
公開
2007/06/28   17:00
更新
2007/06/28   17:35
ソース
『bounce』 288号(2007/6/25)
テキスト
文/河野 貴仁、出嶌 孝次

GAGLE またしても最高傑作を作り上げた、若き匠たち


  Jazzy Sportの根幹を支えるグループと言っていいだろうGAGLE。メンバーはMCのHunger、その実兄でトラックメイカーのDJ Mitsu the Beats、スクラッチなどを担当するDJ Mu-Rという3人で、基本的にライヴ時はHungerを中心に、Mitsu the BeatsがサイドMCを、Mu-RがバックDJを受け持つ。〈仙台から世界にPR〉する彼らがこのたび完成させた3枚目のフル・アルバム『3 PEAT』でも、Mitsu the Beatsがジャジーに躍動するビートを制作し、そこにヒップホップ濃度をグンと高めるMu-Rのスクラッチが挿入され、さらにHungerの独特な〈滑舌ラップ〉が展開される……という構図は変わらない。とはいえ、メンバー各人が諸々のリミックス・ワーク/客演仕事/ミックステープ制作などを経て格段にスキルアップし、そうして磨かれた個性が三位一体にシンクロした結果、今作は〈キャリア最高傑作〉と呼ぶべき出来映えになった。なかでもHungerのラップは、自問自答を繰り返すなかで言葉遊びの域を軽やかに超越し、情緒豊かなものへと進化。その様子は作中に詰め込まれたリリックの至るところで、ハッキリ聴いて取れる。そのように今作は〈黒フェッショナル〉な3人の素晴らしきチームプレイの結晶に違いない。が、一方で彼ら自身がリスペクトしているのであろう外部アーティストのパワーも取り込んでおり、grooveman Spotに有坂美香(Reggae Disco Rockers)、COMA-CHIらJazzy Sportの同胞から、DABO~MUMMY-D~三宅洋平(犬式)などまで、多彩なメンツが全力で好演(後援)を果たし、この傑作を華やかに彩っている。新鋭プロデューサー集団のSUPER SMOKY SOULが制作した黒い霧を発散するような“スパイダイサクセン”のトラックも、今作の妖しくヴィヴィッドなアクセントだ。
(河野貴仁)


犬式の2005年作『Life is Beatful』(provincia)