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第126回 ─ グッド・ヴァイブを次々に醸造する信頼のブランド

第126回 ─ グッド・ヴァイブを次々に醸造する信頼のブランド(2)

連載
360°
公開
2007/06/28   17:00
更新
2007/06/28   17:35
ソース
『bounce』 288号(2007/6/25)
テキスト
文/河野 貴仁、出嶌 孝次

MAHYA とろけるほど心地良い、スウィートでメロウな名作が到着!!


  R&B的な邦楽が盛んに登場してきていた2000年にデビューを果たし、2002年の名作『また、さようなら』を最後に活動を終了したSOUL LOVERS。途中からソロ・プロジェクトとなった同ユニットでヴォーカリストを務めたMAHYA。その後は故郷の北海道に居を移してマイペースな活動を送り、出産も経験。音盤上ではDJ Mitsu the BeatsやGAGLE、grooveman Spotといった友人たちの作品におけるわずかな客演で酔わせてくれるのみだったのだが、今回登場したMAHYAとしてのファースト・アルバム『INNER EXPLOSION』で、ようやくその歌唱に思う存分触れることができる。

  彼女はコブシを回したり、饒舌なフェイクを聴かせたり、不用意に炸裂したりしない。ただ、楽曲に立ちこめた濃密な空気に乗るだけである。だから、彼女の歌は胸を撃ち抜いたりはしないで、身体中をゆっくり浸してくるのだ。とりわけ、甘いものが口先で溶けているような“Love Birds”や“Essense Of Love”でのウィスパリング歌唱には、身も心もとろけてしまう。表題どおりの“Good Vibes”、2000ブラック風のコズミックな“Nobody Like Me”などドープで幻想的なトラックの大半を醸造したのはMasaya Fantasistaとgrooveman Spotのコンビ=Tettroy BLK。他にもMitsu the Beatsやマーク・ド・クライヴロウが参加しているが、そのすべてが心地良くて恐れ入った。大仰に美辞麗句を並べ立てるのが恥ずかしくなるような、そっと慈しむように愛聴したい作品だ。
(出嶌孝次)


SOUL LOVERSの2002年作『また、さようなら』(RE-WIND)