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第62回 ─ ROMZ 5周年!!

連載
Discographic  
公開
2007/06/21   12:00
更新
2007/06/21   16:11
ソース
『bounce』 287号(2007/5/25)
テキスト
文/郡司 和歌、轟 ひろみ、櫻井 誠、望月 慎之輔

世界中の同志と連帯し、いくつもの夜を彩り続けて早くも5年──でも、宴はまだ始まったばかりだよ!


 東京のアンダーグラウンドなダンス・ミュージック・シーンにおいて、2001年末の設立から大きな存在感を誇示してきたレーベル、ROMZ。かつて大阪でYOUNG-ZというCD-Rレーベルを主宰し、東京移住後は自由度の高いDJプレイで全国的にも知られるようになったSHIRO THE GOODMAN、そしてヨーロッパでのリリース経験もあり、自主レーベルであるNotekrec.を率いていたCOM.A――ROMZはこの2人によって立ち上げられた。COM.Aとは「(音楽的な)方向性は違うところのほうが多いかもしれない」としたうえで、「当時は〈変わったもの〉をやってる同士っていう感覚ですよね。インダストリアルが好きで、その延長上でダンス・ミュージックを解釈するっていうところは似てたのかもしれないけど」とSHIROは話す。

「レーベルを始める時に考えてたのは、COM.AやJoseph Nothingが実力に見合う評価を得ることがまず必要だろうと思ってて」(SHIRO)。

 そうしたなか、ROMZの認知拡大に大きな役割を果たしたのが、大阪時代からSHIROと交友のあったサンフランシスコ在住の鬼才=キッド606だった。

「あいつは世界中で知られてるし、ヨーロッパやアジアにROMZの作品を流通していくなかで、けっこう彼の助力があったんです」(SHIRO)。

「エレクトロニカ~IDMみたいな音楽を横目で見て、〈ああいうのは俺らには向いてないな〉っていう話はキッドとよくしましたね。もっと破壊的だったり、楽しいことのほうがおもしろいと思ってたから」(COM.A)。

 そのように国内外の面々と連帯しながら、ROMZはコンスタントにリリースを続けてきた。「みんなすぐに何かを終わらせたり始めたりしたがるけど、俺らはただやってるだけ」というSHIROの言葉はそうした彼らの誇りを表すものだろう。さらにCOM.Aは「送られてくるデモを聴いても、ジャンルを意識してるやつはあんまりおもしろくない」とも。

 いずれにせよ、単純に言葉で説明しきることのできないROMZのオリジナリティーは、後にDE DE MOUSEのように彼らの影響を感じさせる人材の登場も促すことになる――。創設から5年強、ROMZの功績はいま一度再確認されるべき時期なのかもしれない。
(大石 始)