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第2回 ─ 味噌と和尚とスコッティ・ブラザーズ

第2回 ─ 味噌と和尚とスコッティ・ブラザーズ(4)

連載
JAMES BROWN IS NOT DEAD
公開
2007/04/05   16:00
更新
2007/04/05   18:32
ソース
『bounce』 285号(2007/3/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

JBの素敵なアルバムをマンスリーで紹介──(2)1985~1993年

『Gravity』 Scotti Bros./Volcano/BMG JAPAN(1985)
大ヒットを記録した“Living In America”同様に、キャッチーなコーラスと賑やかなホーンを多用してゴッドファーザーの復活をド派手に装飾したダン・ハートマン制作の傑作。力強い歌が雄々しい“Let's Get Personal”、掛け声だけで進行する駆け足ファンク“Turn Me Loose, I'm Dr. Feelgood”など、古さを感じさせない華やかなポップ調理法に大興奮! 包容力のあるスロウ“How Do You Stop”も感動的だ。ゴージャス!

『I'm Real』 Scotti Bros./Volcano/BMG JAPAN(1988)
サンプリングにおける再評価が進むなか、〈実体〉としての存在をアピールした快作で、当時大人気だったヒップホップ世代のファンク・バンド、フル・フォースが全面プロデュース。スクラッチが入りまくる表題曲を筆頭に、自身の遺産を引用/サンプリングしてソリッドなビートを構築させ、上手く神輿に担がれながら傲慢なJB節を自信たっぷりに響かせた佳曲揃いだ。メイシオ・パーカーとも久々に共演。エネルギッシュ!

『Love Over-Due』 Scotti Bros./Volcano/BMG JAPAN(1991)
せっかく完全復活を遂げたのに、いろいろあって6年の懲役刑を科されて2年半。仮釈放を経て、久々に丸ごとセルフ・プロデュースに挑んだ社会復帰作。全体は落ち着いたムードで、ハンク・バラードのカヴァー“Teardrops On Your Letter”ではいきなり50年代マナーに回帰するなど、みずから伝統芸能化している側面もある。が、総じてメロディアスな楽曲をまろやかに聴かせるノドは最高の伝統芸に違いない。ソウルフル! 

『Universal James』 Scotti Bros./Volcano/BMG JAPAN(1993)
クライヴィルズ&コールとジャジーB(ソウルIIソウル)に仕切らせた過去最大の冒険作!? サンプリング主体のアッパーな“Can't Get Any Harder”はリーダーズ・オブ・ニュー・スクール(バスタ・ライムズが若い!)らの助演も熱いC&Cの佳曲で、一方のジャジーBは主役のデカさに臆せず得意のグラウンド・ビート流儀を展開。JB自身とスウィート・チャールズによる演歌的な望郷ソング“Georgia-Lina”もいい。パワフル!

『Living In America』 Scotti Bros./Volcano/BMG JAPAN
ヘボいイラストに購買意欲を削がれるジャケだが……上掲の4作品から1~3曲ずつを集めた手頃なリマスター・ベスト盤だ。87年のTVライヴ盤『Soul Session Live』から故ウィルソン・ピケットとの“Cold Sweat”も収録されていて、この時代を超駆け足で体験するには最適だ。でも、これで済むと思うなよ!