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第6回 ─ 渋谷系

第6回 ─ 渋谷系(3)

連載
Di(s)ctionary
公開
2006/08/03   23:00
ソース
『bounce』 278号(2006/7/25)
テキスト
文/内田 暁男

2. では、実際に聴いてみよう! その2

カヒミ・カリィ 『I am a kitten』 クルーエル(1995)
パリから届けられたモーマスとのコラボレーション・ミニ・アルバム。ミニマムなバッキングと魔性のロリータ・ヴォイスがフレンチ・ポップスの奥深さを教えると同時に、〈ガーリー〉という意匠を脱いだ渋谷系のプリンセスの、どこか素っぽい感触にゾクッ!ときます。

ラヴ・タンバリンズ 『Alive』 クルーエル(1995)
クルーエルの高潔なインディペンデント精神を象徴する一枚。シンプルかつストロングなソウル・ミュージックを掲げた〈愛〉の伝道師たちによる最初で最後のアルバムです。“Cherish Our Love”をはじめ、Eliの圧倒的なヴォーカルが醸すムードはゴスペルに近い。色褪せない名盤!

TOKYO No.1 SOUL SET 『TRIPLE BARREL』 江戸屋(1995)
かせきさいだぁも参加したクルー=LB NATIONのなかでもハードボイルドで文学的な彼らの音楽性は異色でしたが、“黄昏'95~太陽の季節”を収録した本作に漲るイメージは、渋谷系のスタイリッシュなライフスタイルを象徴しています。この哀愁が染みるんです。

サニーデイ・サービス 『東京』 ミディ(1996)
良かれ悪しかれ〈フリッパーズに憧れる渋谷系第2世代〉まんまな初期作品後、はっぴいえんどの再発見を機にフォーキーな〈歌〉を掲げ、一気に注目された彼らの2作目。「ガロ」など70年代文化への再評価も促した懐かしくもヒリヒリした音楽性は、渋谷系後期のエポックといえます。

コーネリアス 『FANTASMA』 トラットリア(1997)
ジャミロクワイの台頭などともリンクしたソロ・デビュー・アルバム以降、常に新たなトレンドを渋谷系にもたらしてきた小山田圭吾が〈個〉を確立した一大桃源郷ポップ作。ディズニー調の目眩めく世界のなかでパーソナルな歌が泳ぐ切ない楽曲が、後期渋谷系を極彩色に彩りました。

カジヒデキ 『ミニ・スカート』 トラットリア(1997)
BRIDGE解散後、トラットリア最後の切り札(?)としてソロ・デビューした彼が、大爆発シングル“MUSCUT”を引っ提げて発表した本作は必修盤です。トーレ・ヨハンソン、エッグストーンなどと奏でられたキラキラの直球ポップスには、後期渋谷系のすべてが詰まっています。