Ⅱ それでは実際に聴いてみよう! その1
RAY PARKER JR. AND RAYDIO 『A Woman Needs Love』 Arista(1981)
ソウル~フュージョン系のセッション・プレイヤーが台頭してきたブラコン時代、AORと表裏一体の洒脱さで西海岸の薫りを運んだのがこの流し目野郎だな。DS455もネタ使いした表題曲に代表される爽やかなライト・グルーヴには思わず襟も立つね。
EVELYN KING 『Get Loose』 RCA(1982)
〈シャンペン〉のニックネームで知られる実力派の、いまも愛されるヒット作! 後にチコ&クールワッダもリメイクした“Love Come Down”での溌剌ヴォイスにはタイムレスな爽快感がある。都会的な音作りで80年代をリードしたポール・ローレンスやカシーフらの快進撃もここからだな。
MARVIN GAYE 『Midnight Love』 Columbia(1982)
偉人の遺作である以上に、制作費の都合で仕方なく用いたTR-808のチープ&セクシーな響きがブラコンのトレードマークとなる音像を生み出した、エポックメイキングな作品でもあるのだよ。渾身の“Sexual Healing”を聴いてピンとこない者は退室したまえ。
DEBARGE 『In A Special Way』 Gordy(1983)
80年代を代表するソウル・ファミリーの3作目。最近だとニーヨが“Stay”で、少し前だとアシャンティが“Foolish”でネタ使いした“Stay With Me”など、ナヨナヨした歌唱を粋に響かせたリゾートでもアーバンでもOKな美曲だらけ。いつ浴びても心地良いメロウ・グルーヴの宝庫だ。
THE ISLEY BROTHERS 『Between The Sheets』 Columbia(1983)
こちらに掲載の新作にまで至るロナルド・アイズレーのアダルト路線に完全移行した最初の名作。808の音色とファルセットの絡みが淫靡な表題曲や“Choosey Lover”など、メイク・ラヴ促進曲が多すぎてベッドから出られなくなるだろう。次作『Masterpiece』も重要。
LUTHER VANDROSS 『Busy Body』 Epic(1983)
デビュー作『Never Too Much』を挙げるのが常道だが、ジャケのブラコン度が高いこの3作目を紹介しよう。歌がいいのは当然として、冒頭の“I Wanted Your Love”などアップ・チューンが纏ったクリスタルな疾走感は何度聴いても錆びずにキラキラしてる。まさに鉄壁のグルーヴだね。