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第4回 ─ BLACK CONTEMPORARY

連載
Di(s)ctionary
公開
2006/06/22   17:00
更新
2006/06/22   17:39
ソース
『bounce』 276号(2006/5/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

さまざまな音楽ジャンルを丁寧に教えてくれる誌上講座が開講! 皆さん、急いでご着席ください!!

Ⅰ ブラコンの成り立ちと特徴

 さて、本日の講議はブラック・コンテンポラリー……諸君らには〈ブラコン〉という略称が馴染み深いかね。そもそもブラコンとは〈コンテンポラリー(現代的)なR&B〉というぐらいのユル~いカテゴライズ用語で、その〈現代〉というのは、その言葉が適用されていた70年代後半から80年代ということになるんだな。で、その名称自体は、キャッシュボックス誌の黒人音楽チャートが78年に〈Black Contemporary Chart〉と改称されたのを契機に用いられはじめたものにすぎない。諸君のなかには〈リズム&ブルースとソウルとR&Bはどう違うの?〉という疑問を持っている人もいるだろうが、それに対して〈全部同じものだけど別のものでもある〉としか答えられないのと同じで、広義に捉えると〈時代の気分〉によって単に呼び名が変わっているだけなんだ。なお、ビルボード誌のチャート名は〈Soul〉→〈Black〉(82年~)→〈R&B〉(90年)と変わっているね。何となくおわかりいただけたかな?

 ただ、78年以降に出たソウル~R&B作品をすべてブラコンと呼ぶかというとそうではなく、ブラコンならではのサウンドやムードというのは確実に存在する。80年代ならではのコンテンポラリー性……洗練されたサウンドでより都会的なテーマ(恋愛など)を歌い、70年代までの〈ソウル〉とは確実に違う志向を持ったものを〈ブラコン〉と呼ぶのが一般的かな。サウンド的な特徴は、フュージョンや西海岸ロック~AOR~ブラジル音楽などとも親和性の高いライトなグルーヴのものから、都会的なジェントルさをアピールすべくテクノロジーを駆使したものまでさまざま。また、そのようにサウンド志向が高まっていくことで、歌い手以上にサウンド・クリエイターの名前が重要視されるようになったのも、ブラコン時代に始まった風潮なんじゃないかな?