それはジャマイカから/聞こえてくる
ウキウキしないか?/ホラ 身体揺らそう
(“聞こえてこないか”より)
彼らは毎週土曜日の夜、いつもの練習スタジオに集まって、心底ヤラれた裏打ちのリズムへの想いをバンド・サウンドに刻み続けてきた。The Ska Flamesの20年に渡る〈確かな歩み〉は、日本の地にスカ・ミュージックが根づき、シーンが成熟していった歴史そのものと言える。
しかしながら、彼ら自身にそういった気負いは見受けられない。基本的にはそれぞれの仕事や生活が優先で、バンドは2番目。だから自然とその活動は限られてくるのだが、スカを〈職業〉にせず、無理なく続けてきたからこそ、彼らの音楽は純粋に育まれていったとも言える。そして、ついに、やっと、10年ぶりとなるニュー・アルバム『REALSTEP』が完成した。
「きっかけになったのは(今回のアルバムにも収録されている)“太陽”。歌詞の内容もシンプルだけど奥が深い。曲とのバランスもいい。これを綺麗な奄美大島で育ってきた、純粋な、あんなに大きいけど小さな子どもみたいな伊勢(浩和)さんが歌うから、全部包み込む良さがあって……。これは今までと違うなって感じた」(大川毅、サックス:以下同)。
スカタライツのコピーから始まった彼らが、スカを消化し、自分たちのスタイルを築き上げることができたという自負。そして20年目の現在、それを広く伝えたいという想い。彼らは、自分たちの持ち味をそのまま活かしながら、他の音楽に負けない音を仕上げるために最大限の努力を払った。
「The Ska Flamesはとにかく一発録りじゃないと。ひとりずつブースに入ったら勢いがなくなるから。で、今の音楽なんかは音圧があるから、たとえばその後にスカタライツのオリジナルをかけたとしても、カッコいいけど聞こえないんですよ。その当時の一発録りの勢いで、今のクリアな音と音圧があるものにしたい。そういう音を録りたいって言ったら、それは無理だって笑われて」。
しかし、理解のあるエンジニアと話し合いを重ねるうちに、バンドにとってもっとも優れたアイデアが生まれる。
「ウチらがいつも練習してるスタジオの奥にホールがあって、ライヴ前はその広めのところで練習してるんですけど、そこで録音しようってことになって。みんなには〈いつもどおり毎週土曜の夜8時~11時に来てくれ。それに合わせて俺が用意しておくから、普通に来て練習するようにやってくれ〉って。それでもみんな緊張してたけど(笑)、だんだんいつもどおりになってきて。僕がいちばん欲しかったのは、(耳のすぐ横を指して)ここで鳴ってるような臨場感。ライヴはライヴの良さがあるけど、練習して曲が出来上がっていくような段階の、みんなが〈いいな!〉って思いながら盛り上がって演ってる時のいい緊張感や空気が出ればいいなって」。
そんな瞬間をいつも感じていたからこそ、The Ska Flamesは20年も続いてきたんだろう。
アルバム・タイトルにもなっているナンバー“Realstep”を聴けばわかる。ウォーキング・テンポに込められた空気の、なんとも言えない心地良さ。これがThe Ska Flamesの魅力だ。