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第45回 ─ ディープ・ファンクの逆襲

連載
Discographic  
公開
2005/09/22   12:00
更新
2005/09/22   12:42
ソース
『bounce』 268号(2005/8/25)
テキスト
文/櫻井 誠、出嶌 孝次、林 剛、ラリー・テレル

『Canada's Message To The Meters』  Jazzman(2003) 最近はキラー・ミーターズなんかも登場してきたが、そのドス黒いサウンドはニューオーリンズの専売特許じゃなかったんだぜ!ってことで、表題どおり〈カナダからのミーターズへの回答〉盤が登場。ヒッチ・ハイカーズを率いたカナダのディープ・ファンク王=フランク・モトリーやキング・ハーバートの周辺音源(69~71年録音)を集めたもの。ストラッティンなクールネスが楽しい。(テレル)

THE L.A. CARNIVAL 『Would Like To Pose A Question』 Now-Again(2003) イーゴンに拍手! レスター・エイブラムスなるオルガニストを中心にオマハで結成された8人組バンドの未発表音源集(69~71年録音)。ホーンがエグく斬り込む“Color”のようにしっかりしたコーラスが味わい深く、ソウルフルに響く。ベースがブインブイン唸ってオルガンがドリーミーに転がる“Blind Man”も格好いい! これぞ中西部ファンクの極み!(出嶌)

FREDDIE TERRELL & THE SOUL EXPEDITION 『Freddie Terrell & The Soul Expedition』 Terrell(1971) アトランタのギタリスト、フレディ・テレルが率いたファンク・バンドの、激レアにして唯一のアルバム。ワウ・ギターとギロが荒いグルーヴを生む“Itching”を筆頭に、リズム隊とホーンズが一体となって脇目も振らずファンクするそのギラつき具合はジャケの如し。ブルージーなスロウもこなすなど、〈ソウル探検隊〉の名に恥じぬ名演を繰り広げる。(林)

『You Better Believe It!』 Warner UK(2005) 溌溂としたメアリー・ウェルズの“If You Can't Give Her Love(Give Her Up)”でウキウキとスタートするモダン・ソウル・コンピ。サム・ディーズ、ヴィヴィアン・リード、ベティ・スワンなどなどアトランティックやコティリオンなどワーナー音源の宝玉がゴロゴロ。著名アーティストの場合もレア曲が選ばれていたり、定番曲も別ミックスだったり、丁寧につつかれた重箱の隅的な必携盤!(テレル)

『Southern Funkin' : Louisiana Funk And Soul 1967-1979』 BGP(2005) 人気のニューオーリンズ~ルイジアナものだけど皆が皆ミーターズの模倣なわけもなく。MG'sばりに迫るカウント・ロッキン・シドニーの“Put It On”(67年)から、オバハン声が愛らしいケイティ・ウェブスターの肉厚ソウル“Hell Or High Water”(79年)まで録音年代も曲調もバラバラだが、泥にまみれたエグルーヴの渾沌を感じさせるムードは一貫。これぞルイジアナ!(出嶌)


『SuperFunk. Presents Funk Soul Sisters.』 BGP(2003) 70年前後のソウル/ファンク・シーンに躍り出たゴッド姐さんたちのファンキー・ナンバーに重点を置いたUK編集のコンピ(未発表曲含む)。ロレッタ・ハロウェイやミリー・ジャクソンらによるロッキン・ファンクから、一般的には無名のシンガーたちによる南部~西海岸産のディープ~モダン・ソウルまで、音も歌も主張しまくった全20曲。迫力満点だ。(林)

『Funky Funky New Orleans Volume 4』 Funky Delicacies(2005) ディープなニューオーリンズ・ファンクのレア&未発表曲を集めた人気シリーズの最新弾。テンプスばりの緊迫感に溢れたブラザーフッドの“The Monkey That Became President Part 1”でシリアスに始まり、激ディープなラリー・ジョーンズ、奥までブッ込んでドロドロにかき回すファントムスなどダイナマイト級の面々が大集合。ジャケで腹一杯になってる場合じゃないぞ!(出嶌)

EBONY RHYTHM BAND 『Soul Heart Transplant : The Lamp Sessions』 Now-Again(2004) インディアナポリスを拠点に活動したローカル・ファンク・バンド(別名義の曲もあり)の編集盤。現地の名門レーベル、ランプに残した69~70年録音の楽曲を集めたもので、コッテリ仕上げられたドアーズ“Light My Fire”の他、オルガンをメインに据えたサイケでルーズなファンクが続々登場。時折見せるジャジーなマナーが中西部的らしい、か。(林)

THE 9TH CREATION 『Bubble Gun』 Shou/Rite Track(1971) 表題曲などが定番ブレイク・ビーツとして人気な、オークランドを拠点とした人種混成大所帯ファンク・バンドのデビュー作。ブラス・セクションが大活躍するタイト&ソリッドなファンクに、アーバン・メロウとしか言いようがないグルーヴィーなヴォーカル曲など、手本にしたのはタワー・オブ・パワーか? 粘っこくウネるようなベイエリア節炸裂の一枚だ。(林)

『Cold Heat Heavy Funk』 Now-Again(2005) ストーンズ・スロウ~ナウ・アゲインのイーゴンが監修した重量級ファンク・コンピ。68~74年のズルムケなファンク曲を惜しげもなく集成した作品で、大半がJB~ミーターズ路線のそれだ。JBメドレーで突っ走るアポロ・コマンダーズ、ウォーのカヴァー“Slipping Into Darkness”をルーズにキメたデイトン・サイドワインダーズなど、イイ意味で垢抜けないローカル臭が味な一枚だ。(林)

『Super Funk. Volume 4』 BGP(2004) BGPの定番コンピ・シリーズ第4弾。DJシャドウも得意げにプレイしていた肉棒ブン回しの鬼太レア・ファンク・ジェム=ビリー・ガーナー“I Got Some”をはじめ、ソウル・ブレンダーズ“Funky Night Club”など今回も特濃チューンが揃いまくり。脳波がオルガンで溶かされ、チキンなギターと荒っぽいドラミングで全身が粉々に打ち砕かれるような、これでこそスーパー・ファンク!(テレル)

SOUL TORONADOS 『The Complete Recordings』 Jazzman(2005) ジャズマンらしい超レアな発掘! 学生バンドが思い出作り(?)に一晩で録音したスタジオ録音曲6つにJB“Superbad”カヴァーのライヴ音源をボーナス収録したコンプリート盤。激レアな7インチとして人気だった“Hot Pants Breakdown”をはじめ、つんのめるような“Go For Yourself”、グリッティーな“Funky Thing”など、若さに溢れた名演揃いだ。(出嶌)

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