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第45回 ─ ディープ・ファンクの逆襲

連載
Discographic  
公開
2005/09/22   12:00
更新
2005/09/22   12:42
ソース
『bounce』 268号(2005/8/25)
テキスト
文/櫻井 誠、出嶌 孝次、林 剛、ラリー・テレル


DYNAMO PRODUCTIONS 『Analogue』 Illicit(2003) ノーザン・ソウルのミックスCDなんかもリリースしているアンディ・スミス(ポーティスヘッド)がスコット・ヘンディ(ボカ45)と組んだブレイクビーツ・ユニットのファースト・アルバム。超ファンキーなクラシック“Steppin' It Up”などなど、ブリストルらしさも薫る疑似ディープ・ファンク・ブレイクスの最高峰! リミックス・アルバムとなる次作『Get It Together』も必聴!(出嶌)

SHARON JONES AND THE DAP-KINGS 『Naturally』 Daptone(2005) すっかりお馴染みのヴィンテージ・ファンク・バンドがまたもドロップした汗だく汁だくのスーパーバッドな特濃盤! シャロン姐さんのディープなノドは、タイトなアッパー・ファンクでも郷愁をそそるソウル・バラッドでも効きが良すぎる興奮剤のよう。JBシャウトがヤバいリー・フィールズとのデュエット“Stranded In Your Love”に涙を絞られるるるるるるぜ!!(出嶌)

オーサカ=モノレール 『THANKFUL (FOR WHAT YOU'VE DONE)』 SHOUT!/RD(2004) オビによるとジャンルは〈ニュー・ニュー・スーパー・ヘヴィ・ファンキ〉だそうで。腰骨がブッ壊れそうなJB“Mind Power”のカヴァーもいいが、ホーニーなホーンの響きで粘っこくブッ飛ばす“GROOVY,GROOVY,GROOVY”がパワフル&ディープ! バンドのタイトさは言わずもがな、ツボを心得た中田亮のSHOUT!に体温が上がるのも毎度のこと。(出嶌)

THE QUANTIC SOUL ORCHESTRA 『Pushin On』 Tru Thoughts(2005) 〈誰も持っていないレアなファンクの7インチ・シングルをかけたいなー〉と思っていたクァンティックことウィル・オランドが、〈自分で作ればいいじゃないか!〉と気付いて始めたのがこのバンド。というわけで、この2作目はまたもや全曲7インチ・シングル・カット可能なアルバムに出来上がってしまいました。UKらしいシャープでタイトな演奏が魅力です。(櫻井)

『Soul Shaker』 Record Kicks(2004) 2000年代のディープ・ファンク・グルーヴを世界各地から集めた好編集盤の第1弾。シャロン・ジョーンズやシュガーマン・スリー&リー・フィールズといったダップトーンものを看板に、スピードメーター、ダイナモ・プロダクションズ、フランク・ポップ・アンサンブルらがファンクの輝きを持ち寄っている。タメとキメと外連を知り尽くしたからこその贅沢なブレイクとブレイクとブレイクに感涙!!(出嶌)

THE MIGHTY IMPERIALS 『Thunder Chicken』 Daptone(2004) 〈ニワトリ=ファンキー〉という公式を理解できる向きにはジャケだけでOK、そうじゃなくてもミーターズ直系の粘っこい演奏が最高! ケブ・ダージのヘヴィー・プレイで話題となった“Never Found A Girl”や“Joseph's Popcorn”など4曲で歌うジョセフ・ヘンリーの激烈ディープ・ヴォイスに失神寸前。バタバタしたドラミングやユルいハモンドのラフな響きが美味。(出嶌)

ALL GOOD FUNK ALLIANCE 『On The One』 Sunswept(2005) 〈Funk Weapon〉なる12インチ・シリーズがDJの皆さんにも大人気なワシントンのブレイクビーツ・チーム、その名も〈全良ファンク同盟〉!! ネタ感もバッチリだし、スマートで隙のないシーケンスから実力の高さが窺えます。ディープになりすぎない、程良く軽快なファンク感が人気の秘密かもしれません。(櫻井)

『Soul Shaker 2』 Record Kicks(2005) こちらの第2弾では、ビッグ・ボス・マンのこくまろオルガン・ファンク“Kelvin Stardust”、クラップとセリフだけで進行するレモンのモーダルな“Hell Yeah”といった2005年モノから、某LTSと同ネタで大爆走するクァンティックのクラシック“Don't Joke With A Hungry Man”、ストーンド・ソウル・ピクニックの未発表曲まで、またしても盛りだくさんな内容!(出嶌)

THE NEW MASTERSOUNDS 『This Is What We Do』 One Note(2005) ケブ・ダージの寵愛によって脚光を浴びたNMS4も早3作目。自主レーベルからのリリースとなった今作はファンキー・ソウルに原点回帰。熟達した演奏は逆にディープな薫りに乏しかったりもするけれど、エディ・ロバーツのギターを軸にした無敵のアンサンブルは実にグルーヴィー。曲名どおりの“The Tin Drum”に土手っ腹を撃ち抜かれるぜ!!(テレル)

VICKI ANDERSON 『Mother Popcorn : Vicki Anderson Anthology』 Soul Brother(2005) JBファミリーの歌姫にしてボビー・バードの奥方とは、もはや言うまでもないだろう。これは“Super Good”や“Answer To Mother Popcorn”といったJB曲の返答歌など、主にJB制作となる66~75年の曲(+α)を集めた編集盤。当然やっているのはJBマナーのファンクだが、バックの音をなぎ倒すような熱血ディープ歌唱は、それ自体がファンクだ。(林)

PEST 『All Out Fall Out』 Ninja Tune(2005) DJ2人にトロンボーン奏者+チェリスト+ギタリストというメンバー構成で話題を集めたペストの新作。精緻なIDM調からアタッキーなジャズ・ブレイクスまで、その編成以上に多様なサウンドを生み出してくるところが凄い連中だが、ここでは4つ打ち+ファンクの先行シングル“Pat Pong”を推薦。独特の空気感がディープ!!(出嶌)

THE BAKER BROTHERS 『Ten Paces』 Arse(2003) UKが生んだジャズ・ファンク・バンド。某『Wired』なテクニカル・フュージョンの“Givson”などジャズ・ロック的なニュアンスこそが持ち味なのだろうが、テクを熱情が上回ったアフロビート風味のハイパー・ファンク“Green Goddess”(曲名もカッコイイ!)とかの味わいが超クールでホット!! 涼しい顔してるけどコイツら汗だくだぜ!(テレル)

『Movements』 Perfect Toy(2004) コレクター/DJのトビアス・カーメイヤーがチョイスした60年代末~70年代初頭のファンク奇岩城。フルートとパーカッションの絡みに泣き踊り必至なシーラ・スキップワースの“Look What You Done To Me”、モッタリと土臭いBB・ブラウンの“I Weep”、ヘタウマなソウル・シェイカーズの“You Ain't My Brother”、妙なラップが渋いブロウフライズの“Funky In The Hole”など、泥臭さがキュートな名曲揃い!(出嶌)

『DJ Cash Money Presents...Head Bangin' Funk 45's』 Boombox(2005) フィリーの伝説、キャッシュ・マネーが広い意味でのパーティー・ファンクをライヴ・ミックス! JB一派、アイク&ティナ・ターナー、ジーン・ナイト、サイマンデ、ベティ・ライトらのド定番曲をラフ&クイックな繋ぎで大胆に聴かせていく作り。レア嗜好の薄さも逆に痛快だし、制御不能なグルーヴの熱さの前ではそんなの関係ないね。(テレル)