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第45回 ─ ディープ・ファンクの逆襲

第45回 ─ ディープ・ファンクの逆襲(2)

連載
Discographic  
公開
2005/09/22   12:00
更新
2005/09/22   12:42
ソース
『bounce』 268号(2005/8/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

まさに音楽の坩堝!! 注目レーベルを運営するDJオルスキを直撃!!

〈ラップ・レコードをリリースしないヒップホップ・レーベル〉って……ちょっと格好良すぎる気がしなくもないが、ケルンを拠点とするメルティング・ポット・ミュージック(以下MPM)が送り出した7インチ・シングルのいくつかからそんな匂いが漂ってきていたのは確かだ。バンドで叩き出す肉体的なファンクもあれば、ブレイクスをファンキーに編み上げたオタクっぽいものもあったり、アーティストのタイプはさまざまながら、楽曲の多くがネタ感に溢れたディープ・ファンク・フレイヴァーを持ち合わせているという点では、まさにキャッチフレーズどおりのレーベルだと言えるだろう。

「ずっと自分のレーベルをやりたいと思っていたし、自分の好きな音楽を妥協しないでリリースしたかっ
たんだ」。

 MPMを立ち上げた動機についてそう語るのは、レーベル代表であるDJオルスキ。エッセンに生まれて、16歳の頃にDJを始めたというヴェテランだ。年齢についてはハッキリ教えてくれなかったが、「……シュガーヒル・ギャングの“Rapper's Delight”が出た当時のことや、クラフトワークの『Computerwelt』をリアルタイムで購入した時のことを覚えているぐらいのトシだよ」とのことで、しつこいけど本当にヴェテランですな。で、彼は98年から4年ほどグルーヴアタックでA&Rとして働いていて、かの〈Supperrappin〉シリーズなどを手掛けていたのだそう。この情報だけでMPMの理念がある程度判断できそうだが……一方で、クール・ハークやデヴィッド・マンキューソ、ラリー・レヴァンのフリースタイルなプレイにいまも憧れているというオルスキは、〈Soul Power〉というパーティーをずっと主催している。

「例えばモス・デフの“Miss Fat Booty”のような曲から、〈Loft〉クラシックス、それにファンク45s、そして、その時に感じたレコードをプレイするんだ」。

 最初にMPMがリリースしたのはそのパーティーと同名のミックステープだったそうだが、ここにきて知名度をグンと伸ばしてきたMPMが、このたび初めてのCD作品としてコンピ『This Is Melting Pot Music』をリリースした。ソウル・ヴィレッジによるロイ・エアーズ“Everybody Loves The Sunshine”のカヴァーなど日本でも話題になった7インチの収録曲に新曲をいくつか加えたもので、ブリブリのホーンが煽り立てるマルコーンズの“Hip'n Soul Shake”、クイーン・イヴ&ザ・キングスの超キラー“All Hail The Queen”、他にも極太なベースでグイグイ引っ張るデヴィル・マクドゥーム、エグ味のあるディープ・ファンクを聴かせるレフティーズ・ソウル・コネクションのように、〈ディープ・ファンク〉をテーマに語るならド真ん中にあたる面々から、アフロビート・バンドのマサーク、さらにはシンガー・ソングライター風の楽曲まで耳触りは多士済々。主にネット上で音源をハントし、コンタクトを取ることでリリースに結びつけてきたアーティストがほとんどらしい。その結果として、参加アーティスト各々の活動拠点もミュンヘン、ハンブルグ、パリ、アムス、コペンハーゲン……とバラバラだ。

「そうなっただけで、計画したわけじゃないんだよ。ヒップホップによって磨かれた音をプロデュースする人はたくさんいて、それは決して人種や国籍を限定するものではないしね。USならストーンズ・スロウやソウル・ストラット、ヨーロッパではロウ・フュージョンもいいし、日本だとJAZZY SPORTなんかもそういう集団だと思っているよ」。

 そして、今作の出来映えを誇りつつも、「デモとかが送られてきたら楽しみだな。リリースの基準はそのレコードが出たら自分で買うかな?ってことだね。特定の音を探しているわけじゃないけど」と、早くも彼の目はその先へ。彼のようにヒップホップDJらしい審美眼がディープ・ファンクを広めてきたわけで、その目利きぶりには今後も期待したいところだ。

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