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第3回 ─ ファストコア

〈ファストコア〉をルーツに持つスピード・フリークが大集合!!

連載
DESTROYER OF STEREOTYPE
公開
2005/04/21   10:00
更新
2005/04/21   19:41
ソース
『bounce』 263号(2005/3/25)
テキスト
文/冨田 明宏

 ファストコア──それはハードコアから生まれたブラスト・ビートで、人力で極限のスピードに挑む過激なエクストリーム・ミュージックである。細分化が進んだ現在のハードコア・シーンにおいてはかなり曖昧な概念になってしまった感は否めないが、皆が知っているあのバンドやこのバンドも、〈ファストコア〉の基本理念をしっかりと踏襲しているのだ。いまではスラッシュ・メタルの帝王と呼ばれるスレイヤーも、デビュー当時は相当にアングラで〈ファストコア〉伝来の非常識な速度と悪虐さでシーンを席巻していったバンドである。80'sスケート文化のヒーロー、スーサイダル・テンデンシーズの傑作サード・アルバム『How Will I Laugh Tomorrow When I Can't Even Smile Today』のファストっぷりも言うに及ばず、ご存知奇人界の天才マイク・パットンのファントマスも〈ファストコア〉の変則スタイルとして重要。みんなが大好きなスリップノットもブラスト・ビート+絶叫という〈ファストコア〉の基本概念を骨子に持ち、柔軟な音楽性とそのキャラで〈ファストコア〉を世に広めた功労者だ。〈ファストコア〉の極北、アゴラフォビック・ノーズブリードは人力を超えた速さを求めたがゆえにリズムはドラム・マシン。もはや基本理念をも打ち砕いてしまった情け無用の狂速っぷりである。そして〈ファストコア〉の概念はクラブ・シーンにまで伝播し、ハードコア・トランス系列のガバを生み出した。常軌を逸した速度と騒音の求道者たちのために、もうすぐBPMに速度規制が設けられる日が来るかも!? なんちって。
▼文中に登場するアーティストの作品を紹介。