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第3回 ─ ファストコア

連載
DESTROYER OF STEREOTYPE
公開
2005/04/21   10:00
更新
2005/04/21   19:41
ソース
『bounce』 263号(2005/3/25)
テキスト
文/bounce編集部

新しい音楽が生まれる瞬間。そこには既存のカテゴリーをブチ壊し、未踏のエリアへと踏み込む破壊者たちの姿があった。そんな彼らの挑戦とエクストリームな音楽を紹介するデストロイヤー列伝!!

〈ファストコア〉からドラマを探すデストロイヤー・トーク・セッション

 既存のカテゴリーを破壊し、われわれに斬新なスタイルと価値観を提示した冒険家たちを讃えるこの連載も今回が3回目。テーマの〈ファストコア〉にならって、このトーク・バトルも短期決戦かと思いきや、2時間を優に越える長い闘いとなった……。ということで、いきなり話題はテーマの核心に。

池田義昭(以下:IKE)「もともと〈ファストコア〉の源流って、どこにあるのでしょうか?」

KATOMAN(以下:MAN)「〈ファストコア〉とはハードコア・パンクという本流から飛び出したカテゴリーなわけだけど、80年代初期に活躍したヴォイド(写真左)やヘレシーなどのサウンドがその源流になるのかなぁ。実際にナパーム・デスも、彼らから多大な影響を受けているはずだしね。ただ、しっかりと〈ファストコア〉という呼び方をするようになったのは、その後に登場してきたチャールズ・ブラウン(写真右)やスパズあたりが出てきたころかな? しかもそれは世界同時進行的な流れで、日本からS×O×Bが出てきたのもこのあたりなんだよね」

IKE「ちなみにKATOMANさんの〈ファストコア〉初体験って、相手は誰でした?」

MAN「オレの初体験はS×O×Bだったね。演奏が始まってすぐに〈なんだコレは!?〉ってビビった。とにかく速いのなんの(笑)」

IKE「体感的にハードコア・パンクの倍速ぐらい? それとも3倍速?」

MAN「う~ん、45回転系?(笑)」

IKE「(笑)うんうん、なんとなくイメージできます。それはそうと、いったいなにをもって〈ファストコア〉としているのでしょうか?」

MAN「簡単な説明になってしまうけど、曲が速くて短いっていうのが〈ファストコア〉の定義なのかな。速い! 短い! 以上!みたいなさ(笑)。だって初期のナパーム・デスなんて、笑っちゃうぐらいに速かったからね。1曲1秒の7インチとかリリースしてたし」

IKE「スパズのアルバムは7インチにも関わらず、通常のアルバム以上の曲数が収録されていましたしね」

MAN「当時は、速くて短いのが続々とリリースされてた。青かったオレは〈スピード競争してんのかなぁ~〉ぐらいにしか思っていなかったね。〈ヤツらのアルバムには50曲入っているから、オレらは100曲入れようぜ!〉とかさ(笑)」

IKE「そんな当時のムーヴメントが、音楽シーン全体に残したものってあったのでしょうか?」

MAN「〈ファストコアの美学〉は残したけど、あとはない! ギネス・ブックには当時の記録が残ってるかもしんないけど(笑)」

IKE「〈凝縮の美学〉ってやつですね! アタック1音に命を掛けてる感じの」

MAN「そうそう、単純な感じもするけど、彼らの大事なアイデンティティーなんだよなぁ、速くて短いってことは」

IKE「そんな〈凝縮の美学〉を継承している現代のバンドって、どのあたりになるのでしょうか?」

MAN「ロカスト(写真)やディリンジャー・エスケイプ・プラン、日本のMELT-BANANAなんかはダイレクトに影響を受けているはず。でも、メジャーなヘヴィー・ロック系にも大きな影響を与えていると思うよ。あとカテゴリーはガラッと変わるけど、ジョン・ゾーンのネイキッド・シティーなんかもね」

IKE「スピリットが継承され、表現方法は多岐に及んでいると……」

MAN「近年さらにエクストリーム度が増してきているような気がするね。おそらく時代性も関係していると思うし……。あのさ、ロカストのメンバーが言ってたんだけど、彼らは〈短い時間のなかにどれだけの情報を詰め込むか〉ってことで勝負してるんだって。情報過多の現代、われわれにとって長い時間集中力をキープするのは大変なことだから、短く機能的な曲がいかに有効なのかってことを延々と説明してくれた(笑)。しかも彼ら自身、〈1曲のなかで同じリフを2回は使わない〉なんてルールまで課しているんだから、おもしろい連中だよね」

IKE「誰もが音楽をプレイするうえで、使用する楽器やカテゴリーなどそれぞれに着地点を見つけているわけだけど、彼らの場合は初めに演奏時間の短さへ着地したということですね。〈ファストコア〉=速くて短いハードコア・パンクとして捉えるだけでなく、そこにはさまざまなドラマが封じ込められているというわけなんですね」

MAN「またロカストの話なんだけど、彼らがいまレコーディングしているEPは、10分の間に数十個の起伏を与えてすべて1トラックにしてるんだと。トータル10分間のプログレ作品になってるみたい(笑)」

IKE「何十巻も続く長編も、4コマも同じ〈マンガ〉じゃないですか? そこには短いながらも起承転結があり、長編と同等のおもしろさがある。そう考えれば、〈ファストコア〉もこれからは違った聴き方ができそうですね」

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