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第2回 ─ UKダブ

〈UKダブ〉の血統を受け継ぐポップ・ミュージックあれこれ……

連載
DESTROYER OF STEREOTYPE
公開
2005/03/10   11:00
更新
2005/03/10   15:49
ソース
『bounce』 262号(2005/2/25)
テキスト
文/青木 正之

 UKのポップ・ミュージック・シーンのいたるところに潜んでいるダブのエッセンス。ここ10~15年を見てもチャートを賑わすようなアーティストたちが積極的に採り入れております。いまやセレブ級の成功を収めたノーマン・クックがかつて率いたビーツ・インターナショナルは、クラッシュからベースラインを拝借してSOSバンドの曲を元にした全英No.1シングル“Dub Be Good To Me”で見事なダウンビートを披露。また同じころにはマッシヴ・アタックのデビュー・アルバム『Blue Lines』が登場。こちらはブリストルの地に脈々と受け継がれてきたレゲエ/ダブを咀嚼し、いまなお強い影響力を持つスタイルを完成させています。影響という点では、ON-Uを主宰するUKのダブ・マスター、エイドリアン・シャーウッドも多大に関与。レゲエ/ダブ色の濃くなったアルバム『Tank』を発表したばかりのエイジアン・ダブ・ファウンデーション(ADF)はかつて彼のお世話になり、そのADFをフックアップしたプライマル・スクリームも、エイドリアンのプロデュースでダブ・アルバム『Echo Dek』を制作しました。プライマルとはなにかと縁深いトゥー・ローン・スウォーズメンのエレクトロ・サウンドもあきらかにダブを通過したものです。最後にイロモノ扱いをされているフィンリー・クウェイも忘れてはなりません。彼の音からはさまざまな影響が聴いて取れるのですが、すべてを呑み込んでしまうあの大陸的な懷のデカさは、まさしくダブの恩恵を受けています。
▼文中に登場するアーティストの作品を紹介。