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第4回 ─ 〈FUJI ROCK FESTIVAL〉予習ディスク・ガイド

連載
オレらの 夏 フ ェ ス 予習・復習帳 04
公開
2004/07/22   19:00
更新
2004/09/24   19:53
ソース
『bounce』 999号(0/0/0)
テキスト
文/bounce.com編集部

日本人に〈音楽フェスティバル〉という概念を植え付けた、と言っても過言ではない〈大本命フェス〉FUJI ROCK FESTIVAL。多くの音楽好きから愛されているフジロックは、もちろん今年も最高のメンツが揃いぶみ! 好きなアーティストのライヴを見る、という本来の楽しみ方以外にも、「こんな面白いアーティストが!」という発見の場としても最適なのは過去に足を運んだ全てのオーディエンスが感じているのではないでしょうか? こちらでは、フジロック出演アーティストの作品をご紹介。〈モリッシーのドタキャン〉なんてハプニングをものともしないほど厚みのある出演陣を、みっちり予習してから出かけましょう!

7月30日(金)に出演するアーティストの作品を紹介

The Miceteeth
『ネモ』
サブスタンス (2003)

  若き10人の侍が紡ぎ出す暖かくて幻想的な音世界……The Miceteethの奏でる音楽には絶対的な包容力がある。聴くものを柔らかく包み込むようなホーンとトロける歌声。このミニ・アルバムは、ライヴではすでに中心曲となっている“ネモ”をはじめ、またしてもロマンティックな空気感で溢れてます。スカというジャンルで勝負しながらも、ポップ・ミュージックの世界に食い込む可能性を持つあたりが彼らの器の大きさ。大注目盤。(斉藤 浩一 / 2003/11/25掲載)

Dizzee Rascal
『Boy In Da Corner』
XL Recordings(2003)

  UK/アイルランド出身のアーティストに与えられるもっとも権威ある音楽賞〈マーキュリー・ミュージック・プライズ〉を受賞した、いまUKでもっとも才能溢れるMC、ディジー・ラスカルのデビュー・アルバム! あのソー・ソリッド・クルーと揉めているとの噂もあるロール・ディープ・クルーに在籍し、またベースメント・ジャックスの新作『Kish Kash』にも参加するなど、話題には事欠かない彼。しかしこのアルバムは、そんなネタもぶっ飛ぶほどトリッキーかつホットな音で埋め尽くされている。やや甲高い声質で人を喰ったようなMCイング、USのヒップホップにドラムンベース/UKガラージを掛け合わせたスカスカのトラック。若干チープな印象は否めないが、恐ろしいくらいにアイデア満載で刺激の塊だ。最初はその変態ぶりに腰が引けそうだが、一度耳に馴染んでしまえばもうヤミツキ。これでまだ10代っていうんだから恐るべし!(青木 正之 / 2003/10/25掲載)

BRITISH SEA POWER
『The Decline Of British Sea Power』
トイズファクトリー(2003)

  注目の新人バンドが登場。UKはブライトン出身の4人組、狂気の渦に巻かれて暴発中。イメージを定着させない広い音楽性、自在に変化するヴォーカル・スタイルが異色。“Favours In The Beetroot Fields”はもろにペル・ウブ、デヴィッド・トーマスの歌い方/曲調なのに、デヴィッド・ボウイやイアン・カーティスっぽく聞こえる瞬間も。ストレートなUKロック、ポスト・ロック、優しい歌、すべてが不規則に並ぶ狂気劇!(米田 貴弘 / 2004/7/25掲載)

LITTLE TEMPO
『茶の味』

  『鮫肌男と桃尻女』『PARTY7』の石井克人監督の 2004年新作の音楽担当は、なんとリトル・テンポ!! 土生"TICO"剛のスティール・パン(スティール・ドラム)を中心に、心地よいダブ/レゲエのリズムにゆったりと乗せて展開する、新しいけれどなつかしい、そんな音楽世界。藤田陽子をゲスト・ヴォーカルに迎えたテーマソングは日本的情緒を見事に取り入れて、超名曲!!!! 次々と、新しい展開を繰りだす昨今の日本映画サントラ・シーンに、またもや新しく心地よい刺激!!!!! 石井監督作による、劇中の「三角定規のうた」「山よ」(ゲストはデューク・エイセス!!!)も収録。 (馬場敏裕)

BASEMENT JAXX
『Kish Kash』

  ダンス・ミュージックの枠を超えてポップ・シーンにも影響を与える存在となった2人組の新作。ド派手で享楽的、人を喰ったような展開やアレンジはもちろん、リサ・ケカウラ、ミシェル・ンデゲオチェロ、JC(イン・シンク!)、ディジー・ラスカルなど賑やかなゲスト陣の楽しげな怪演も聴き応え十分。ハウス、ラガ、ソウルにストリングス使いまであらゆるジャンルや手法を駆使した、さながらオモチャ箱の様相です。(ネイシャン / 2003/10/25掲載)

PJ Harvey
『Uh Huh Her』
アイランド(2004)

  ヤー・ヤー・ヤーズのカレン・Oやキルズのヴィヴィなど、昨今のガレージ勢にも多大な影響を与えてきたPJ・ハーヴェイの7作目。ほとんどのレコーディング行程を彼女自身が手掛けた作品で、ギミックなしのガチンコ勝負! キンキンに張りつめた演奏とヴォーカルの絡みが容赦なし。こりゃ、聴くほうも全裸ってのが〈PJルール〉! もう、女性性にまつわるうんぬんとかで彼女を語るのはナシよ。そういう次元じゃないんだから!(武山 英丈 / 2004/5/25掲載)

PIXIES
『THE PIXIES』
Beggars Banquet / 4AD (2004)

  〈まさかお前たちまでも!〉的再結成を果たし、ついでに来日まで決定してしまったピクシーズ。彼らのベスト盤と共に濃厚なDVDが登場。88年のロンドンでのライヴ映像に、89年のヨーロッパ・ツアーでのオフショット、さらにはプロモ・クリップ集からトム・ヨークやデヴィッド・ボウイまでも担ぎ出したドキュメンタリーまでを収録。傍若無人なギター・サウンドとフランク・ブラックのわんぱくぶりは不滅なのです。(米本 剛史 / 2004/5/25掲載)

Lou Reed
『Transformer』
(2002)

  ロック史に残る名盤に留まらず、ルー・リードのキャリアにおいても重要な意味を持つ『Transformer』。その制作過程を関係者の証言で振り返るドキュメンタリーが本作。本人はもちろん、デヴィッド・ボウイや、亡くなる直前のミック・ロンソン、ファクトリー関係者も登場して語られるエピソードに興味は尽きない。個人的には“Satellite Of Love”でのボウイのコーラスを、「最高だろ!」と語るルーの澄んだ眼差しが印象的でした。(村尾泰郎 / 2002/5/25掲載)