豊かな音楽性を滲ませ、フロアからお部屋までを自在に演出するクラブ・ジャズ~クロスオーヴァー・ミュージックたち。最近だと北欧が熱い!なんて声もありますが、コンポストで注目を集めたドイツの動きが、いくつかのレーベルを中心にグングンおもしろくなってきてるんです! この素晴らしさを素通りしようとしてるのは、どこのドイツだ!?(失礼)
ドイツ発のフューチャー・ジャズ周辺作品が塊で注目を集めだしたのは、トゥルービー・トリオやジャザノヴァを擁するコンポスト、ジャザノヴァとコンポストの合弁レーベルであるJCR、そしてソナー・コレクティヴ(以下ソナー)が思い浮かぶところだろうが……とりわけ、ここしばらく興味深いのは92年にフランクフルトで設立されたレーベル、インフラコムの動きだ。もともとはアブストラクトな流れにあるダウンテンポ作品などをリリースしていたが、コンポストなどの躍進によってジャズの文脈が盛り上がってくると、徐々にフューチャー・ジャズ周辺の音に重きを置くクロスオーヴァー・レーベルになっていく。実際にソナーのディクソンはタクシーのリミックスを手掛けているし、ジャザノヴァのロスコ・クレシュマンのユニットであるコスマがインフラコムと契約していたり、マイツはもともとソナーからリリースしていたり……などなどクリエイターの交流に伴うレーベル間の関係も密接である。片やソナーもこれまで設けていた8つのサブ・レーベルを統合し、統一ブランドとしてヴァラエティー豊かな作品を送り出しはじめたばかり。彼らのサウンドは時としてジャズに片足を残すこともしなくなり、ハウス、ラテン、R&B、エレクトロニカ、ダブ、アフロ……と多様化を極めている。それとシンクロして、ニュルンベルグのダウンテンポ/ラウンジ系レーベルであるステレオ・デラックスなども非常に近い文脈で語れるサウンドを数多く送り出すようになってきた。この後、インフラコムではタクシーの新作が控えていたり、ソナーもクララ・ヒル(ジャザノヴァやジョージ・レヴィンへの客演で人気のシンガー)のアルバムが秒読み段階だったり……まだまだドイツ産のクロスオーヴァー・ミュージックには旨味がいっぱいだ。(編集部)