明確な特色があるわけじゃないけれど!着実に良作を送り出し!ついにカタログ・ナンバー150!を記録したレーベル=!K7!に僕らはいつもビックリさせられてばかりだ!!
〈レーベル買い〉という言葉には2種類のマインドがあって、ひとつは〈レーベル名からだいたいの音が判断できるから買う〉てな感じ、もうひとつが〈レーベル名から浮かぶ固有のテイストはないけど、そのチョイスを信用して買う〉みたいなもの。いや、どうでもいいんですけど、この!K7は疑いなく後者の気分で判断されるべきレーベル、しかもその筆頭なのであります。
そもそも〈Stud!o K7〉が正式表記だった!K7、その名前のとおりに、映像業務を行う西ベルリンの会社です。ホルスト・ヴァイデンミュラーによってレーベル部門が設立されたのは91年ですが、脚光を浴びたのは、93年にテクノのDJミックス・シリーズ〈X-Mix〉をスタートさせてから。ローラン・ガルニエやデイヴ・クラーク、リッチー・ホウティン、ケヴィン・サンダーソン、ケンイシイら世界各国の名だたるDJを迎え、次々にヒットを飛ばしていった同シリーズは、テクノのミックスCDが現在のように山ほど出ていない時代にあって、レーベルの名前を大きく広めました。が、ちょうど10作目にあたるハードフロア編でシリーズを打止め(現在はボックス・セットとしてもリリース)、より広いカテゴリーの音源を対象にした〈DJ Kicks〉シリーズに移行していきます(コラムを参照)。
また、96年からはレーベル・オリジナル音源のリリースを開始。K・ハンドやテレンス・パーカー、ワムドゥー、ガイ・コールド・ジェラルド、ニック・ホルダーらがオリジナル・リリースを重ねていくことになります。その後はライセンス音源も含めつつ、国やジャンルを問わず、テクノ/ハウス、ドラムンベース、ヒップホップ、ダブ、エレクトロニカ、クラブ・ジャズ……と、いわゆるクラブ・オリエンテッドな音楽であること意外にはノー・ルール。ただ、そうでありながら、もっとも守るのが難しいルール(=いい音楽を送り出すこと)にだけは忠実なレーベルなのです。(編集部)