NEWS & COLUMN ニュース/記事

第1回 ─ 郷愁のアメリカン・スタンダード・ポップス

VICTORIA WILLIAMS スタンダードを口ずさむアメリカン・ルーツ・ミュージックの歌姫

連載
鈴木惣一朗の貝がらラジオ
公開
2003/05/15   13:00
更新
2003/05/15   17:48
テキスト
文/村尾 泰郎

 親愛なるヴィクトリアへ──そんな風に書き出したくなるくらい、ヴィクトリア・ウィリアムスの歌を聴いていると、とても親密な気分になってくる。不思議なハイトーン・ヴォイスで、移動遊園地みたいにハッピーでサッドなナンバーを歌うシンガー・ソングライター、ヴィクトリア・ウィリアムス。そんな彼女の最新作『Sings Some Ol' Songs』は、なんと10年間に渡って少しずつ録音してきたスタンダード・カヴァー集なのです。“Moon River”から始まって、“My Funny Valentine”“Over The Rainbow”“As Time Go By”など、数々の名曲をアコースティックなスモール・セットで披露。なかでもガーシュイン作“Someone To Watch Over Me”の夢見るような感じといったらもう、タメ息もの。でも、彼女はシンガー・ソングライターであるという自覚から、本作をリリースするのを最初ためらっていたらしい。それを踏み切らせたのは、〈この恐怖と不安の時代に歌に望みを託す人がいることを伝えたかったから〉だとか。いま最愛のパートナー、元ジェイホークスのマーク・オルソンに支えられて、難病に立ち向かっているヴィクトリア。そんな彼女がスタンダードに託した想いのなんと力強くもたおやかなこと。だからこそ本作は、掛け値なしにビューティフルなアルバムなのです。