
永地「オレは日本より断然アメリカン・プロレス派なんだけどさ」
デジ「でもな、世界で最初に選手ごとのテーマ曲を設定してたのは全日本プロレスだぜ!?」
永地「What?」
デジ「ちなみにその〈What?〉(人気レスラー、ストーンコールド・スティーヴ・オースティン定番の掛け声)ってのはノリエガの曲“Superthug”が元みたいよ」
永地「ま、そういうふうに音楽とプロレスは密接だってことさ。最近だとヒップホップ界にプロレス好きって多いよな? 餓鬼レンジャーとか、ダースレイダーとか。たまたま昨日ASIAのイヴェントに行ったらステージとオーディエンスの間に金網があってさ、GK MARYANが金網を登って武藤敬司のポーズをやってたよ(笑)」
デジ「男なら、いや女でもあのポーズは真似たくなるだろ! とはいえ、プロレスの入場曲といえばまだまだロックの天下だろ。オレの場合、プロレスにロックを教わったようなもんだし! いまもレスラーに愛されてるのは限られたアーティストだよ。AC/DC、メタリカ、オジー・オズボーン……ガンズ&ローゼズの場合は“Welcome To The Jungle”に人気が集中してるな、元Uインターの宮戸とか(笑)」
永地「当然だろ! ハード・ロックとかメタルには速効性があるし、入場曲にはイントロがいちばん重要だからさ。横浜アリーナにWWF観に行ったときもさ、照明がバッと焚かれて、いきなりマリリン・マンソンが〈ズンズン……〉って響き渡ってさ、花火もドッカンドッカン上がって……ああいう演出に映えるし」
デジ「あとはプロディジーとかパフ・ダディも人気みたいだ。音が一発鳴ったときの〈登場してきたぜ!感〉みたいなのがあるし」
永地「ただ、レスラー個人の好みとかが透けて見えたり、この曲使ってんの?とかギャップもあると違う意味でおもしろいよな。ドン・フライがセパルトゥラの、しかもリミックスの曲だったりさ(笑)」
デジ「例えば、高山善廣はローリング・ストーンズが好きみたいでさ、ずっとストーンズの曲で入場してるんだよね。ガンズ版〈悪魔を憐れむ歌〉とかの時もあって(笑)、そういうこだわりは好きだな」
永地「キャラクターに思い入れを持つうえで重要なファクターだな。ただ、既存の曲だとその曲自体のイメージが強すぎる場合もあるし、選手が曲を選ぶ際には注意してほしい!」
デジ「誰に言ってるんだよ(笑)」
永地「オレはやっぱオリジナル曲がいちばんかな。WWEの場合は全部同じ人がレスラーに合わせて書いてて、ロック様のとかビッグ・ショーのとか単純にカッコイイ曲も多いもん。既存の曲でやるんだったら、サントラの曲とかがいいな。ハンス・ジマーの曲とかドームで映えると思うよ。重厚さとか仰々しさ、重量感……」
デジ「リンプ・ビズキット以降、ヘヴィー系の定番は出てきてない気もするけど、イイ意味で下世話な感じの曲だったらジャンルは関係ないもんな。パフィとかもハデで下世話だから合うんだよ」
永地「あとはマスターPとかミスフィッツみたいにリングに上がったり、逆にレスラー側が音楽をやったりするともっとおもしろいね」
デジ「まあ、藤波社長の“マッチョ・ドラゴン”みたいなのはやめてほしいけどな……」