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第14回 ─ HYDRA HEAD

ISIS ハイドラ・ヘッドのオーナーにして、バンドのフロントマンでもあるアーロン・ターナー。独自のリリース策を講じる彼の真意とは??

連載
U.S. LABEL GUIDE
公開
2002/07/18   00:00
更新
2002/07/22   16:40
ソース
『bounce』 233号(2002/6/25)
テキスト
文/小林 英樹

 「俺はアイシスのレコードをハイドラ・ヘッドからリリースしたいとは思わなかった。これは俺のバンドだし、メンバーとの間で衝突が起きないような環境にしたかったからね。それに他のハイドラ・ヘッド所属のバンドに、アイシスが自動的に優先権を得ているように思われたくなかったんだ。また、レーベルの仕事に満足がいかなくなったとき、バンド内に要らない不安の種を作ることになってしまうのも怖かった。でももちろん他のレーベルが、俺らの音源をリリースしたいと思うのかどうか知りたかったっていうのもあるけどね」。

 答えてくれたのはアイシスのフロントマンであり、ハイドラ・ヘッドのオーナーでもあるアーロン・ターナー。〈自身のバンドをリリースするためにレーベルを立ち上げた〉なんてことはよくある話だけど、ここまで頑固な人も珍しい。つまりはバンド、レーベルともに、自信に満ち溢れているわけだ。さて、こんなにも真摯な姿勢を貫いているアーロンだけど、やはりそのスピリットはハードコアから受け継がれたものなのだろうか?

「いいや、ガキの頃はポピュラーなもの……やはりポイズンとか、モトリー・クルーとかが好きだったよ。そこからメタリカ、スレイヤー、そしてカーカスあたりまで行ったんだ。パンクやハードコアは14、5歳ぐらいのときが最初だ。フガジ、ゴリラ・ビスケッツ、ニューロシスとね。聴くやいなやハマってしまって、小遣いを全部ハードコアものの通販に費やした。俺が住んでいた所はパンク系のレコード屋がなかったもんだからさ(笑)」。

 以前からラモーンズやらメタリカやらのカヴァー・バンドをやっていたそうだが、本格的なレーベル/バンド活動を始めたのはボストンに移ってから。「ヘヴィー・エモっぽかった」というユニオンスーツ、さらに「アートっぽいジーザス・リザード」というホロメンというバンドを経て、ついにアイシスが結成される。

「俺とベーシストのジェフ・カクサイドで始めたんだ。2人で音楽の方向性を話し合って、結局行き着いたのは〈ラウドでスロウでヘヴィーで、エレクトリック・サウンドを導入して、アートと音楽と歌詞にコンセプトっぽい要素を導入する〉ような方向性だった。たしか97年の夏のことだ」。

 その思いはミラクルに実現された。実際アイシスのサウンドは、ハードコア・スピリットを保ちながらも、ブラック・サバス的轟音から70'sサイケやアシッド・エッセンス、さらにはプログレ志向もヒシヒシと感じられるもの。しかしそのなかで強く目立っているのが、現在のシーンにハマリまくりのエレクトロニカ~エクスペリメンタル・アプローチ。

「コイル、ナース・ウィズ・ウォウンドあたりも好きだからね。それにドラムンベースや70年代のロックやヒップホップが好きなメンバーもいる。その他いろんな音楽がミックスされて、濃縮されて、かつバラついたサウンドにならないようにまとめ上げているんだ」。

 実際彼のお気に入りは、キッド606、ムーム、フェネズ。レーベルで挙げるならば、メゴ、タイガービート6、ニンジャ・チューン、エイリアン8などの名前が。最近では、その出自をハードコアに持ちながらも、こんな幅広いアプローチをするアーティストが増えているのも事実。

「たくさんの共通点があると思ってる。アグレッシヴなサウンドだし、アンダーグラウンドのネットワークを通じて作られ、セールスよりもアーティスティックな表現を大切にしている。 80年代に入ると、パンクはヘヴィー・メタルから影響されはじめたし、その逆もあった。そして今、エクスペリメンタル・ミュージックとハードコア/パンク・ミュージックの間で、新しい音楽形態が生まれようとしている。それって素晴らしいことだと思うし、音楽、それにインディー・ミュージックの流れにとっては新展開だと思うんだ」。

アイシスのサウンドに影響を与えた作品を紹介。


ゴリラ・ビスケッツの89年作『Start Today』(Revelation)

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